思いと望み
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廊下に出てから後ろ手で扉を閉め、彼女が向かったであろう場所へ跳ぶ。
「ここで何をしている、マリア」
「………」
予想通りの場所……玉座の間。
室内の中央で、扉から階段へと伸びる赤い絨毯の上に。
マリアは膝を落として座り込んでいた。
俺と同じ程度に伸びた、長い白金の髪を床に散らして。
背後に立った俺を愕然と振り返る。
「……貴方、こそ…………なにを……しようと、してる、の?」
初めて会った頃よりもずっと艶めかしく成長した肢体を隠そうともせず、両の翼を失ってなお美しい女神は、喉を引き攣らせながら俺に問いかけた。
儚げな印象を与える薄い水色の目が、驚愕と戸惑いに染まっていく。
「貴方、は、アリアで、なにを……っ!」
ぽろっと零れた涙の粒が、闇の中で刹那に光る。
「…………同じ、か」
感情のどこに重点を置いても、マリアは変わらずマリアのままだ。
なら、この先はあの時と同じ。
マリアは怒りと憎しみで狂い、俺はマリアを壊すだろう。
それはそれでも、構わないが……。
「! いや!! 触らないで!!」
「黙れ」
「待っ……つ!」
なけなしの力で両手両足を振り回して抵抗するマリアを肩に担ぎ。
ベッドの横へと空間を移動する。
シーツの上に落とした体が軽く弾んで、小さな悲鳴が虚空に響いた。
「っ、答えて、レゾネクト! あれは何!? どうしてア……っ」
仰向けで押し倒したマリアの額に左手を翳し。
激しく動揺する意識を閉ざす。
見開いた両目から意思の光が消え、彼女の体からも力が抜けた。
無防備な裸体の横に座り、目蓋を閉じさせて、落ちた涙を唇で掬う。
「見届けろと言った。そうでなければ、面白くないだろう?」
望み通り教えてやる。
見せてやろう。
俺と、アリアで。
今度こそ、必ず。
だから、壊しはしない。
壊れるのなら、壊れる前に。
その為に…………
「アリアには、そろそろ自覚が必要だな」
「!」
役員による臨時の会議を済ませて。
午後の礼拝前に一息入れようと、自室の扉を開いた男性が見たものは。
そこに居る筈がない人影だった。
(……なるほど。確かに、これでは参ってしまうのも無理はないか)
一歩踏み入り、他の者が室内を覗かないうちに扉を閉めて、鍵を掛けた。
人影は身動きもせず、男性の顔をじっと見つめている。
「どちらからお入りになられましたか? ……などという質問すら、無粋に思えてしまいますね」
男性が部屋を空ける時は必ず、すべての窓と扉に施錠する。
加えて、扉の外側には常時二名の見張
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