不明瞭な結末の後に
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内心で頭を振って思考を端に追い遣った。
笑止、と彼なら呆れるかもしれない。酷く滑稽に見えることだろう。だからこそ、いつしか彼と彼女……いや、劉備軍と曹操軍は戦わなければならない。
小さく、自分にだけ聞こえる声で呟いた。
「争わずにいられると信じることは浅はかですか……結局争ってしまう私達に信じる権利はないと、あなたならいうでしょうか。
従えずとも貴賤の別なく手を取って並べると……あなたはいつも説いていたはずなのに」
こんな所で足踏みしている暇はないのだ。
語って聞いてみたいことが幾つもある。自分には話す権利などないかもしれないが、それでも、この乱世さえ終われば彼とまた前のように、平和を目指す仲間でいられると思いたかった。
せめて矛盾の塊のようなこの戦を終わらせようと、愛紗は偃月刀に力を込めた。
無自覚で手心を加えていた自分に気付く。これならもう、終わらせられる。
「孟獲……これ以上は無意味だ」
「何を言ってるにゃ! お前は避けるばっかりで攻撃一つ出来ないじゃにゃいか!」
「攻撃出来ないとしないは違う。もう分かった。お前では私には勝てない」
「にゃっ!? 美以の力を見くびるにゃぁ!」
犬歯を見せて怒りをそのまま、孟獲の大型武器が渾身の力を以って振り下ろされる。
跳躍によって高まった一撃は大地を抉り爆ぜさせるのは先ほどから何度も見てきた。
ただ、愛紗は大振りの一撃を避けるでなく、逸らすでもなく……青竜偃月刀の下段からの切り上げによって、孟獲の武器を叩き斬った。
弾かれる小さな体躯。呆気に取られる少女兵士達と劉備軍の兵士達。ただの一撃で終わるとは誰も思っておらず、大地に倒れ伏した孟獲と髪を棚引かせる愛紗を交互に見るのみ。
幾瞬、身体を起こした孟獲が己の武器を見て目を見開く。
「……っ」
「砕けた武器でまだやるか?」
「にゃ、にゃぁ……美以の虎王独鈷がぁ……」
まさか壊れされるとは思いもよらなかった孟獲は涙目で武器を握りしめていた。
戦う気概はその時点で薄まり、憤慨よりも悲哀の方が勝っているらしい。
「大王さま……」
「大王さまが負けたらミケたちじゃ勝てないにゃ……」
そこではたと気づいた少女は、周りを見渡して顔を蒼褪めさせていった。
幾多モノ死体、幾多モノ仲間の傷ついた姿、戦闘中は周りに目が言っていなかったらしく、孟獲は瞳一杯に涙を溜めた。
「にゃんで……にゃんでお前らはこんな酷いことするにゃぁ!」
自分達から襲いかかって来たのだろうに、とは愛紗も言わない。戦をしているのだから当然だろう、とも言わない。
「美以達は悪くないのに、縄張りに勝手に入ったおみゃーらが悪いのに!」
その言葉は真実だと、無言で愛紗は肯定し
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