第二十話 それぞれの戦後(その2)
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、ビューロー」
「ああ」
「その事にもう一度乾杯しよう」
「良いだろう」
互いにグラスを掲げた、そして一息に飲む。美味い、勝利と気の置けない友人、今日はとことん楽しめそうだ……。
帝国暦487年 1月27日 オーディン ブラウンシュバイク公爵邸 オットー・フォン・ブラウンシュヴァイク
「今戻ったぞ」
「お帰りなさいませ、お父様」
「お帰りなさいませ」
宮中から屋敷に戻ると娘と妻が出迎えてくれた。それ自体は珍しい事ではないが二人とも浮き浮きとしている。ここ最近は無かった事だ。
居間に行きソファーに座ると早速二人が正面に座った。そして弾むような声で話しかけてくる。
「エーリッヒが勝ったのですって」
「お父様が宮中に行かれた後、エーレンベルク元帥から報せがあったのよ」
二人とも小さな子供のようだ、思わず笑いが漏れた。
「うむ、五万隻の反乱軍を破ったらしい。見事なものだ」
わしの言葉に二人は驚いたような顔をしている。
「何だ、聞いてはおらんのか」
「勝ったとしか……、ねぇ」
妻と娘が顔を見合わせて頷いた。どうやら軍務尚書は詳しい事を話さなかったらしい。
「反乱軍は五万隻の大軍だったそうだ」
「五万隻……」
「それでエーリッヒ様は」
「うむ、イゼルローン要塞の駐留艦隊と協力して挟み撃ちにしたそうだ。反乱軍は大きな損害を出して撤退した。大勝利だな」
“凄いわ”、“本当ね”、二人が喜びの声を上げている。随分と心配していたからな、その分だけ喜びも大きいのだろう。
「エーリッヒ様は何時頃お戻りになるのかしら」
「そうだな、イゼルローン要塞で補給や艦の修理をしなければならんだろうから……、ざっと二ヶ月後かな」
わしの言葉に娘ががっかりした表情を見せた。
「二ヶ月も先なの……」
「そんな顔をするな、エリザベート。戦争は終わったのだ、あとは帰って来るだけだからな」
いかんな、納得したような表情ではない。
「それより帰ってきたら忙しくなるぞ、エーリッヒは元帥に昇進だからな。元帥杖の授与式、戦勝式典も有るが、当家でも祝賀パーティをしなければなるまい」
「エーリッヒは嫌がりますわね」
「まあ、そうかもしれんな」
わしと妻の会話にエリザベートが笑い声を上げる、妻もわしも唱和するように笑った。
笑い終えると娘が妻に何事か囁いて席を立った。居間を出る直前に“お母様、お願いね”と言う。はて、今のは娘がわしに直接頼み辛い時にやる癖だが……、妻に視線を向ければ苦笑を浮かべている。
「何かわしに頼みごとか?」
「ええ、ちょっと」
「何だ、一体」
問い掛けると妻の苦笑が更に大きくなった。
「エーリッヒと正式に婚約したいんですって」
「婚約?」
「エ
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