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雲は遠くて
97章 信也たち、ジャニス・ジョップリンとかを語(かた)る
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OZE(ローズ)』の歌詞も、
いま美菜ちゃんが教えてくれた、ジャニスの心情のような歌詞だもんね。
I say love it is a flower.
And you it's only seed.
わたしは、愛とは花だと思う。そして、あなたは、その愛の花の種ですよ。ってね。
愛って、人から人に伝えて、育てるしか方法はないのかもしれないよね。
そして、そんな愛を育てるためには、音楽とかの芸術って、人間には大切なんだろうね」

「そうよね。しんちゃん。愛は花のようなものかもしれないわ。大切にしないと、育たないし、
すぐに()れちゃうものだもんね。わたしもジャニスは、好きだわ」

 清原美樹が、テーブルの向かいの席の、信也と美菜にそう言て、話しかけた。

「愛と言えば、信也さん、ニーチェは、どんなことを言っているんでしょうかね」

 美樹の隣の松下陽斗(はると)がそう言って、カクテルのカシスオレンジを飲む。

「ニーチェは、自分と同じように他人を愛せよという、美しい物語のような、
キリスト教などが()く『隣人愛』が、人間の生を否定してきたと考えたようですよね。
人間は、自己の強力な欲望を捨ててまでして、他者を愛することはできないと考えたらしいのです。
つまり、簡単にいえば、自分を愛せない人間に他者を愛することはできないってことを、
ニーチェは言っているんですよね。
また、言い換えれば、自分自身の価値を信じたり、誇り高く生きていられるからこそ、そのように生きようとする他者の価値を信じられるし、相手の価値も認めることもできるってことですよね。
愛するとは、自分とまったく正反対に生きる者を、その状態のままに、喜ぶことだ、とか、
自分とは逆の感性を持っている人をも、その感性のまま喜ぶことだとも言っているんです。
あと、ニーチェは、こんなことも言ってます。<人を愛することを忘れる。そうすると、次には、
自分の中にも愛する価値があることを忘れてしまい、自分すら、愛さなくなる。
こうして、人間であることを終えてしまう>ってね。
愛って、心の中に咲く、花のようなもので、大切にしないと、
すぐに枯れて、無くなっちゃうようなものかもしれないですよね。あっはは」

 信也は、そう言って笑うと、隣の席の大沢詩織と、目を合わせた。

「人間って、なぜだかよくわからないけど、自分ひとりでは、愛という花を育てられないのだろうし、
だから、友だちや、誰かから、愛という花を、受け取ったり、教えてもらう必要があるんだろうね。
いつ、誰から、愛の花という花束を受け取るのかって、人それぞれなんでしょうけどね。
そうそう、おれって、ジャニス・ジョップリンのアルバムや、
あの『THE ROZE』の映画音楽の総指揮をとった音楽
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