GGO編
九十二話 初心者
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可能性は極めて低い。何しろリョウの後ろには約300m以上に渡ってコンテナが途切れなく並んでおり、仮に全速力でリョウが逃げているとすれば後ろから直接撃った方が早いのだ。あちらはAGI型なのだから、速さにも自信があるはずだし、彼に銃の知識があるなら、此方の得物を見た時点でリョウがSTRが高いことには気付いた筈である。
残り警戒すべきはFPSではお決まりの遮蔽物の向こうに投げるグレネードだが、おそらくAGI型の為だろう。腰にそれを釣っているようには、先程見た限りリョウには見えなかった。
そして待つこと数秒……
『……来たっ!』
コンテナの向こうに、影……あいての頭が見えた。恐らく素早く動いているのだろうそれは、あっと言う間に肩、胸、腹と影をさらして行き……遂に、足が見えた……ところで止まる。
『っと……バレたか?』
一瞬冷や汗が頬を伝った……ような感じがしたが、しかしゆっくり確実にインコはコンテナの端に近寄ってくる。影が、太ももを表し、膝を出し……
『行けっ!』
足首、足の先が見えたかと言うところで発砲。
予測線があちらに見えたのだろう。真っ直ぐに飛ぶ軌道を描いている線をみてあちらの歩みは止まった。が、銃弾と勘違いしたのか下がる気配はない。それを確認したとき、既にリョウは空中に居た。
バァン!と言う破裂音が、響き、インコの物であろうくぐもった声が聞こえる、と同時にリョウは叫ぶ。
「jump!」
ドウッ!と言う凄まじい音と共に、リョウの身体が空中を進む。足に取り付けた《六十九式脚部起動補助推進装置》が火を吹き、リョウを前方へと飛ばしたのだ。そうしてリョウはコンテナの上へと……
「って、何ィ!?」
それどころかコンテナを斜めに飛び越えてその向こう……インコが居るはずの場所まで吹っ飛ぶ。
真下に見えていたコンテナを越え、地面に倒れこむように居たインコと……目が合った。
リョウの思考が加速し、あらゆる物が、ゆっくりに見えた。
インコが銃を上げる。一撃目の後回復したのか彼のHPは残り一割五分。20o弾の威力が期待より低い……!
体制を崩しながらリョウは右手から手放しかけたXMを左手で引き金に指を掛け……二人同時に片手で発砲する。
ガガッ、ガガッ!
ガガガッ!
というそれぞれの銃声が響き、リョウの左手首に銃弾が掠り、インコの右肩に掠る。しかしインコにはもう一つ被害がでた。身体に当たりかけた弾丸をとっさに防ごうとしたのか、彼の銃が爆散したのだ。
HPはこれによって残り一ドット。地面に転がったリョウはそのまま跳ねるように起き上がり……取り落としたXMの代わりにDEを構えた。
――――
「……負けたな、やるな、姉ちゃん」
「そいつぁどう
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