第九話・外伝「蒼真と……」
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今日は散々な目に会ったな? 引っ叩かれたり、目のやり場に困ったり……だが、根っから嫌なことはなかったな? 露天風呂にも入れたし、美味い飯と酒もご馳走になった。
その後、蒼真は和室に敷かれた布団を見つけた。おそらく、前もって神無が敷いてくれたのだろう。
その布団に入り、彼は明日に備えて休んだ。
*
翌朝、この里に蒼真に続いて新たな来客が訪れていた。
「束の情報によれば……この集落に蒼真が居るのか?」
黒が身を風に揺らし、すらりとしたスタイルのきいた体に大人びた美しい様子の女性、それは紛れもなく織斑千冬である。
「ここか? 神社とは、アイツの実家は神社なのか?」
それとも、神主にでもなって神社に住み着いているのか、どちらにせよ希望と不安を胸に彼女は長石段を登っていく。
「ここだな……」
落ち着いた雰囲気を保ちつつ、彼女は引き戸をノックする。しかし、誰も出てこない。
――留守か?
やはり、外で奉仕でもしているのだろうか、なら境内を探してみるとするか……
「もし、客人か?」
「……?」
千冬が振り向くと、そこには箒を両手に握る一人の巫女の姿があった。
「参拝客……ではないようだな? 何用だ?」
しかし、巫女は千冬の不愛想な風格を見て何やら強い警戒心を抱いた。
「……ここが、玄那神社なのですか?」
千冬は静かに、しかしどこか不愛想な感じに答える。
「そうだが……?」
巫女こと、天弓侍神無はさらに警戒を強めた。
――敵意を感じないはずなのに、なにやら強い執念を感じる?
「あぁ〜……二日酔いはキツイぜ……ん、神無?」
そんとき、ガラガラと引き戸が開くと、中から頭を抱える蒼真の姿が見えた。
「そ、蒼真!?」
「テメェッ……!?」
蒼真は、自分の名を呼ぶ女が誰なのか、すぐにでも悟った。
――織斑千冬!?
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