第九話・外伝「蒼真と……」
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「ところで……私の料理が、其方の母君の手料理とどこか似ているところがあったのか?」
彼女は妙に少しうれしくなった。
「まぁ……お袋の飯と重なったのは嘘じゃないな? 死んだお袋の飯が食えたかのようで、よかったぜ」
「そ、そうなのか……それは、申し訳ないことを伺ったな?」
「いいって?」
「……実はな? 私も両親はいないのだ」
「……?」
ふと、蒼真は彼女を見た。
「……両親は私と弥生を庇って死んだ。それ以来は、姉妹力を合わせてどうにかここまでやってこれたというわけだ。あ、すまない。私の方こそ暗い話をしてしまって……」
「お互い気にすることじゃねぇよ? それよりも、おかわり!」
「ハハ、はいはい」
その後、大食漢な彼は飯を五杯以上食べたという。そして、腹が膨れた時に神無がお盆に酒の器を持ってきた。
「晩酌はどうだ? おかずもまだ残っているし」
「え、いいのか? 酒まで頂いて……」
「其方は客人なのだぞ? ここを宿と思ってくれていい」
「じゃ、じゃあ〜……もらおうかな?」
「では、ささ御猪口をこちらへ?」
と、神無は蒼真のもとへ寄り添って彼の盃へコポコポと酒をくむ。
「おう! この酒もスゲェ美味ぇ!?」
日本酒は同僚の付き添いで飲んだことがあるが、この酒は今まで飲んだ酒よりも最高に美味かった。
「しっかし……こいつぁ効くぜぇ……!」
その分、度数もかなり強い。
「酒も口に合って何よりだ……」
「ほら、神無ちゃんも飲めよ?」
「い、いえ……私は酒には弱くて……」
「そう堅ぇこと言わずに、ささ!」
「で、では……」
酔った蒼真に誘われるがまま彼女も酒を一口もらうことに……すると、
「ヒックッ……うにゃあぁ〜……」
一口飲んだだけで彼女は泥酔してしまったようだ。それどころは、キリリとしていた彼女が、いざこのような状態になると、ピッシリと着こなしていた巫女装束は徐々に肌蹴ていってしまう……
柔肌の肩が襟元からずれてあらわとなり、それどころか巨大な胸元まで見えそうになる。
そんな彼女の酔う姿を見て、唾を飲み込むことしかできない蒼真は目のやり場に困った。
「そ、蒼真殿ぉ……?」
そのとき、突如神無が蒼真へ伸し掛かってきたのだ。彼女の豊かすぎる爆乳が、蒼真の胸板へ押し付けられている。
「や、やっば……か、神無! 何をしてんだ!?」
「蒼真殿……ムニャ〜……」
しかし、ここいらで彼女は寝息をたててスヤスヤ寝てしまった。
「へっ……!?」
目を丸くしながら、蒼真は神無の可愛らしげな寝顔を見つめる。
「寝てる……のか?」
――女ってもんは嫌いだが……こいつだけは、そんなに嫌な感じはしねぇかも?
今も自分の胸の中で眠る神無を抱え起こすと、そのまま抱きかかえて彼女の自室へ連れていった。
――やれやれ……
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