暁 〜小説投稿サイト〜
デュラララ!! cross,world≠異世界の狂者達の宴
不幸な不幸な幸せ
[3/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初
よ。
 布団をかぶり直し耳栓を付け、天然パーマの青年は目を閉じた。
「銀さーん寝てんのか? 寝てんなら起きろよー」
 うるせぇなー。睡眠学習の邪魔すんなよ。
 昨日は飲みすぎて頭ガンガンするんだよ。マシでイライラすんだよ寝させろよコラ。
「しゃぁねぇなー」
 ノックの音は止んだ。
 やっと寝られるぜ…………待てよ。
 嫌な予感が―――――――――――――

 バキバキッゴキバキッ!!

 予感は的中した。
 木の割れる音だ、玄関のドアを折ったか割ったか穴開けたか…………ヤバイヤバイ!
 銀髪天然パーマは瞬時に身の危険を察知し布団から脱出すると同時に枕元の仕事着を装着する。
 ギシギシ…………アイツの足音だ!?
 銀髪天然パーマはくるくると巻かれた髪の毛をセットする素振りで―――――――――。
「あれ? 起きてたんすか?」
「オッ、おぉー髪の手入れに時間が掛かってよ。
 もうちょっとで終わるから待っててくれる?」
「解りました、外で待ってます」
 そう言って平和島 静雄は部屋を出た。
 た、助かった。髪の手入れをするふりをしながら心の中で呟いた。
 数秒遅れてたら死んでた絶対死んでた…………危ねぇなオイ!
 銀髪天然パーマは準備を整え死んだ魚の様な瞳で窓の外を眺めた。
 今日も景色は変わらない。雨の日でも晴れの日でも曇の日でも雪の日でも池袋は変わんねぇな。
 薄らと笑みを零し銀髪天然パーマの一日は始まる。
 その偽りの当たり前を日常と感じながら。



 上条 当麻は学生だ。
 普通の高校生で学力は平均以下の《普通》の高校生だ。
 喧嘩で鍛えられた筋肉とバイト先の先輩から教わった喧嘩殺法を除けば《普通》の高校生だ。
 右手の存在を忘れ、自分は不幸な人間だと知りながらも異能の存在から忘れられ活用されない右手は喧嘩のみ活用される不幸な右手だ。
 幻想殺しは平凡な日常だと無意味だ。
 異能の力のみ無効化する右手は上条 当麻の記憶から消され存在自体を忘れている。
 でも、それでも上条 当麻は今の生活に。
 今の世界に満足感を覚えていた。
 記憶から消えても刻まれた日々は上条 当麻の記憶から体から抜け出し残ったのは普通の高校生の普通の暮らし。
 誰だって自分は特別な存在だと思ってる。でも、上条 当麻は自分を十分特別な存在だと自負する。
 その理由は?
 その根拠は?
 簡単な事だ。

 仲間達に囲まれ、皆、笑顔ならそれで良いじゃん。








 金髪のバーテン男&金髪のスーツ姿の天然パーマは仕事の真っ最中だ。
 仕事の内容は至ってシンプル!
 借りた金を返さない奴に「金返せ(笑)」言って回る簡単な簡単なお仕事だ。
 まぁ、後処理は困難だろうけど。

[8]前話 [1] [9] 最後 最初


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ