第十六章 ド・オルニエールの安穏
第一話 パーティーにて
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けよ」
「そんなの今じゃなくても―――」
苛立ったように声を僅かに荒げるルイズを制するように、凛は手に持ったワインを掲げた。
「あなたと二人で話がしたくてね」
「……何よ」
ふくれっ面をしながらジロリと睨みつけてくるルイズに、凛はワイングラスをテラスに向けてみせた。
ルイズは女子生徒たちに取り囲まれている士郎を一度ジロリと睨みつけた後、テラスへと向かって歩き出した。
「―――で? 話ってなに?」
「そう慌てなくてもいいじゃない」
テラスに出た凛は、ルイズの責めるようか声に肩を竦ませると、欄干に腰掛けるように寄りかかった。
背中を逸らすように空を見上げた凛は、夜空に浮かぶ大きな二つの月に目を細めると、顔を下ろしルイズに用意していたワインを一つ差し出した。
「ほら、あなたも飲んだら?」
「……ふん」
小さく鼻を鳴らしながら凛の手からワイングラスを奪うように掴み取った。
奪ったワインを一気に飲み干すルイズの姿を見つめていた凛は、微笑ましげに笑みを浮かべると、手に持ったグラスを傾けた。
「わたしと話がしたいっていうけど、それって必要あるのかしら? わたしは特にあなたと話がしたいとは思わないし、正直迷惑なんだけど」
「へぇ〜……本当にそうのかしら?」
ふんっ、と鼻息荒く胸を張るルイズを、凛は下から覗き込むように見上げた。何処までも見通すかのような凛の瞳から逃げるように、ルイズは顔を背ける。
「どう言う意味よ……」
「そのままの意味よ。本当は私よりも、あなたの方が私と話をしたいんじゃないの?」
顔を背けながらも横目でチラチラと見てくるルイズに目を細めながら挑発するように言葉を向ける凛。
凛の言葉に思わず激昂し、詰め寄り掛けたルイズだったが、直ぐにぐっと唇を噛み締め顔を俯かせると、絞り出すように声を漏らした。
「っ―――そんな事ないわよ」
「本当に? ま、確かにそれも本当でしょうね」
決して良い意味ではない笑いを含んだ凛の声に、下を向きながら震える程の力で拳を握り締めていたルイズは、垂れた髪の隙間から見下ろしてくる凛を睨みつけた。
「……随分と含んだ言い方ね」
「本当は士郎の過去について、色々と話を聞きたいんでしょ。でも、それと同じくらい。いいえ、それ以上に聞きたくはない」
突き刺すようなルイズの視線を感じていないかのように飄々とした態度で、探偵よろしく凛は指を教鞭に見立てるかのようにピンと突きたて語っている。
「………………」
「ま、その理由は簡単に想像できるわね―――怖いんでしょ」
「っ」
ビシリと凛の指先がルイズに向けられる。
息を飲むルイズ。
「……確かに怖いわよね。何せ士郎はここと
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