第十六章 ド・オルニエールの安穏
第一話 パーティーにて
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く、主人をほったらかして何をやっているのよ……」
「結構なことじゃない。それだけの事をしたんだし、人気があるのはそう悪いことじゃないでしょ」
「―――っ!?」
誰に言うでもない独り言に対し、応えが返ってきた事に驚いて声が聞こえてきた方向へ慌てて顔を向けたルイズの前には、何やら料理が盛られた皿を片手に立つ一人の女の姿があった。
「トオサカ―――リン」
「あら? 驚かせちゃったかしら?」
小首を傾げながら微笑する凛を前に、ルイズは警戒するように小さく後ずさった。
凛は何処から用意したのか、真っ赤なワインレッドのドレスを身につけていた。
「―――あなた、どうしてここに居るのよ。ここにいていいのは学院の関係者だけよ。大人しくシロウの部屋で待っている筈じゃなかったの?」
そう、あの戦いの後、遠坂凛は士郎たちと共にここ―――魔法学院について来たのであった。
とは言え、士郎の知り合いだとしても、氏素性が知れないものを、そう簡単に貴族が在学する魔法学院に置いておくわけにはいかない。魔法学院に連れてくる前は、単純に学院長に話せば何とかなるだろうと楽天的に考えていたが、なんやかんやで未だ学院長に話を通す事が出来ずにいた。そのため凛についての説明するための目処が立つまでは、士郎の部屋に隠れていてもらうという話になっていたのだが……。
「あなたの事がバレたら、どうなるか想像ぐらい出来るでしょ―――っ」
「そこは心配しなくても大丈夫よ」
大声で怒鳴りたいのをぐっとこらえ、押し殺した声で文句を言うルイズを見下ろしていた凛は、近くに立っていたメイドが持つ盆の上に置かれていたいくつものワインの内から一つをひょいっと持ち上げると、くいっと飲み干し盆の上に戻した。すると、テーブルに盆に置いていたワインを並べていたそのメイドが、一つだけ飲み干されていたワインに気付き、首を傾げ始めた。
「っ……何をしたの?」
「軽い暗示のようなものよ。まったく、そこまで心配しなくてもいいでしょ。ほら、見てごらんなさい。みんな士郎たちに夢中じゃない。一人ぐらい知らない女がいると気付かれたとしても、誰も気にしないでしょ」
「だからって」
皿に盛った料理をパクつきながら肩を竦める凛に、ぷるぷると震えながらルイズは空になったワイングラスをつぶさんばかりに握り締めた。
「―――それで、まさかただパーティーの料理を食べに来ただけって理由じゃないでしょ」
「まあ、正直な所それもあるわね」
「あなたねぇ……」
頬をヒクつかせるルイズの様子を楽しそうに眺めていた凛は、空になった皿を近くのテーブルの上に置くと、並べられていたワイングラスを二つ取り上げた。
「ま、冗談はさておいて、ただちょっとあなたと話をしたかっただ
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