第十六章 ド・オルニエールの安穏
第一話 パーティーにて
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りと言ってはなんじゃがの、君たち二人にはトリステイン宗教庁から、司教の任命状が授けられることとなった。丁度ジュノー管区に二席ばかり席が空いたからの」
ルイズとティファニアにそう告げると、オスマンは生徒たちへと振り返った。
破格といってもいい恩賞に、生徒や教師たちから割れんばかりの歓声や拍手が鳴り響く。
しかし、その中に僅かに戸惑った雰囲気が混じっていた。
その理由は唯一つ。
今回の功績の中、最大級の勲を示した士郎には何も与えられていない。
生徒たちの視線がさり気なくオスマンに向けられるが、これで終了とばかりに何やら話している。
功績が功績だけに、もっと大きな場所での授与となるのではないかと、どことなく納得のいかない様子を見せながらも、生徒達は一応の納得をしてみせた……。
授与式が終了した後は、華やかな宴が行われた。
今回の主役たる水精霊騎士隊の周囲には、開始直後から既に人垣が出来ていた。今回は、平の隊員であるギーシュ達にも多くの人が群がっていた。女子風呂覗き事件により、地の落ちるどころかめり込む程の評価だったギーシュたちの評判は、今回の活躍により何とか盛り返したようであった。ギムリやレイナールは、群がる女子生徒たち相手に今回の活躍を大げさな身振りで語って何やら黄色い声を上げさせている。ギーシュとマリコルヌは、女子風呂の一件以来こじらせていた女の子との関係も何とか修復の目処がたったようであった。まあ、ギーシュもマリコルヌもそれぞれ一抹の不安を抱くような雰囲気ではあったが……。
とは言え、確かにギーシュたちは多くの女子生徒たちに囲まれてはいる。
しかし、やはりといっていいのか、元からの評判が高く、今回の戦役では文字通り英雄譚並の活躍をした二人は桁が違った。
そう、文字通り。
ホールに生まれた一つの巨大な円。
数十人を超えるだろう生徒や教師に囲まれた中心にいたのは、士郎とセイバーの二人の姿であった。
「え、エミヤさまっ! ぜ、是非とも戦場での活躍のお話を―――」
「あ、あの、わ、わたくしずっとエミヤさんの事が―――」
「アルトリアお姉さまっ! そ、その、ど、どうかこれ受け取ってください」
「そ、その、お、お姉さま―――」
一言でも話そうとばかりに人が迫ってくる姿に、士郎もセイバーもただただ引きつった笑みを浮かべるしか出来なかった。
生徒たちに取り囲まれ、四苦八苦している士郎たちの姿を、人垣の隙間から覗いていたルイズは、手にしていたワインを傾け、喉を軽く潤すと小さく溜め息を吐いた。バレッタで髪をまとめ、白いドレスを身につけた貴族の女性らしい姿をしたルイズは、着飾った自身の姿を見下ろしもう一度溜め息を吐いた。
「はぁ……全
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