第十六章 ド・オルニエールの安穏
第一話 パーティーにて
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ルヌはどこぞの舞台に立つ主人公のように堂々とした仕草で自身の身体に親指を突き立てた。
「喜んでッ!!」
静まり返ったホールにマリコルヌの堂々とした声が響き渡った。
ゴクリと誰かが息を飲む。
異様な空気がホールを包む。
一体これからどうなるのかと期待と不安が際限なく高まる中、オスマンはジロジロとマリコルヌの全身を眺めると、うんと一つ頷きゴホンと咳払いをした。
「さて冗談はここまでにして」
「「「「「―――ッッ!!!」」」」」
この場にいた全員が顔を俯かせこぶしを握り締めた。
その瞬間、ホールにいた者たちの心は一致していた。
『こいつ殺してぇッ!!!』と。
「まあ、君たちにはちゃんと王政府からその活躍に見合う名誉が用意されておる」
ぶるぶると怒りに身体を震わせるギーシュたちを前に、何でもないことのように振舞いながらオスマンは正装した教師のシュヴルーズを迎え入れた。シュヴルーズの手に持っているものにいち早く気付いたギーシュが声を上げた。
「そっ、それはシュヴァリエのマントじゃありませんかっ!!?」
ギーシュの言葉に、生徒たちの視線が一斉にシュヴルーズの手に持つマントへと向けられた。確かにギーシュの言葉の通り、それはシュヴァリエの証たる黒字に銀色の五芒星が縫われたマントであった。
それが一枚だけでなく、五枚あることに気付いた生徒たちからどよめきが広がる。
「そうじゃ。何しろ君たちの上げた功績は著しいものじゃった。ロマリアでさえお手上げだったゴーレムを打倒した君たちには、それに相応しい名誉が必要じゃろう。アルトリア嬢は言わずもがなじゃな」
オスマンの言葉は大げさなものではない。
士郎とアルトリアが上げた功績はまさに比類なきものであったが、ギーシュたちの戦果もまた、“シュヴァリエ”に叙されるに十分なものであった。確かに今回の戦争―――ガリア王継戦役にトリステインとして参加した軍は水精霊騎士隊一隊のみであった事も、今回の異例の五名全員に対し“シュヴァリエ”の位が叙されるという結果となったことは否定できない。何せこれで恩賞が何もなかったり、適当な勲章を送るだけであったら結局トリステインは何をしたのか? と諸外国から色々と政治的に責められる可能性があり。だからこそ、騎士隊全員(士郎を除く)に“シュヴァリエ”を叙すというインパクトが必要であったのだ。
ギーシュたちは、渡されたマントを震える手で受け取ると、ギュッと胸元に抱きしめた。
感動に打ち震えるギーシュたちを微笑ましげな目で見つめたオスマンは、今度は二人の女子の前へと向き直った。
「え〜、君たちは巫女として今回の戦役に従軍したことから、勲章やシュヴァリエの位を与える事はできんのじゃが、代わ
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