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剣の丘に花は咲く 
第十六章 ド・オルニエールの安穏
第一話 パーティーにて
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がり始めた。
 このままでは折角の祝賀会が残念な事になってしまうと気付いたギーシュは、慌てた様子でオスマンのフォローを入れた。

「っ、は、はいっ! そ、その通りっ! これも全てオスマン氏の教育のおかげでありますですっ!」

 何故かビシッと敬礼するギーシュの姿に、うんうんと頷いたオスマンは、ゆっくりとギーシュへと近づいていった。

「ふむ、ふむ……で、ギーシュくん」
「はっ! なんでありましょうかオールドオスマンっ!」

 オスマンの真剣な眼差しに、ギーシュはもしや個人的に何かしらの褒美か何かが貰えるのかと期待が込み上がった。

「やはり君は実に素晴らしい人材じゃ。よし、よし、そんな君たちにはご褒美をあげよう」

 期待通りの言葉に、ギーシュたちの口から「おおぅ」と喜びに満ちた声が漏れる。
 もしや学院卒業時、トップの成績の生徒にしか与えられないダイヤ付きの黄金宝杖でも授けられるのでは? と期待に満ちた視線をオスマンに向けるギーシュたち面々だったが、それに対する返答は―――。

「―――抱いていいよ」
 
 ―――全くの予想外。
 斜め上過ぎる返答であった。
  
「「「……は?」」」

 聞き間違いではと耳をほじほじとほじくったギーシュたちは、再度耳を澄ませオスマンへと耳を傾けた。

「抱いていいよ」
「「「―――はい?」」」

 聞き間違いではなかった。
 オスマンは何やら自信に満ちた顔つきで自分自身を親指でトントンと胸を叩いてみせている。じっと何かを期待するかのような眼差しを向けてくる。
 ぱくぱくと何か言おうと口を動かしたギーシュであったが、直ぐに泣きそうな顔にぐしゃりと顰めたみせた直後、ふっと何か全てを諦めたように全ての感情を表情から排除すると、小さく、しかしハッキリと首を横に振った。
 ギーシュの拒否の意志を受けたオスマンは、何の反応も示す事なく顔をずらし、その隣に立つギムリへと向ける。
 ギムリは小さな笑みを口元に浮かべると大きく首を横に振った。
 お次はとギムリの隣へと顔を向けたオスマンを、凍えた絶対零度の冷笑を浮かべたレイナールが迎えた。

「はっ」

 肩を竦めながら鼻で笑ってみせるレイナール。
 しかしオスマンは全くへこたれない様子でその隣りのマリコルヌへと向けられる。
 ゴクリと誰かが唾を呑む音が異様に大きくホールに響いた。何時の間にか歓声は収まり、広いホールは異様な緊張感に包まれていた。

「抱いていいよ」

 オスマンの都合四回目の誘いの言葉。誰しも断るのだろうと思っていた。
 しかし、何故か周囲に広がる緊張感がそれを否定する。
 “まさか”といった戦慄と、“こいつなら”といった意味の分からない期待が高まり、それが最高潮に達した瞬間マリコ
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