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剣の丘に花は咲く 
第十六章 ド・オルニエールの安穏
第一話 パーティーにて
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ことも可能な巨大な炎を、このエミヤシロウは何と剣の一振りをもって打ち消したのじゃッ!!」

 息を飲み真剣な表情で士郎を見つめる生徒たちの前で、オスマンは一拍の間を持ち口を開いた。

「その話を聞いた時、皆は話が大きくなっただけだと、それどころかただの作り話だと思ったことじゃろう。確かに信じがたい話じゃ。しかしっ! それは違うっ! それは本当にあったことじゃったっ!! 証人はその光景を見ていたのは数万もの兵士たちだけでなく、何とあのロマリアの教皇猊下さえ認めているのじゃっ! これ以上ない証拠じゃろう。彼の働きは、まさに過去―――どのような勇者、英雄さえ成し遂げれない偉業じゃっ! それをこのエミヤシロウは成し遂げたッ!! 邪悪なるジョゼフが生み出しし炎の玉を、その正義の剣をもって散らしたその姿は、まさに英雄譚―――否ッ!! 神話に語られる英雄の如き姿じゃッ!」

 既に生徒たちの水精霊騎士隊―――いや、衛宮士郎とアルトリアを見つめる目は、憧憬を超え信仰の域にまで達しそうな程であった。
 何せ冗談ではなく、本当に今後語られるであろう英雄譚である。
 ここまでの活躍は、どこの国、どの時代でも成し遂げられないものであった。
 それがたった一個騎士隊、たった一人の騎士の手によって成し遂げられた。そしてその登場人物たちは自分たちとそんなに変らない歳のものばかりであり、普段良く目にしていた者たちである。騎士隊の活躍だけでなく、その中で語られる物語もまた、彼らの興味を駆り立てていた。
 ガリアの新女王となったのは、何と先日まで共に机を並べ学んでいた同級生であった。
 その彼女と水精霊騎士隊が行動を共にしていたのは誰の目にも明らかであり、その即位にこの騎士隊が関わっていると考えない者は学院内には誰もいなかった。
 これから長きに渡って語られるだろう英雄譚に登場する主人公たちと同じ時代に生きただけじゃない、同じ学び舎で学んでいるということに、生徒たちは誰しも感動に打ち震え涙を流す者すらいた程だ。
 興奮の余り、倒れる者が生徒の中にチラホラと見える中、口々に生徒たちは「水精霊騎士隊(オンディーヌ)万歳ッ!」と叫び続ける。それを煽るようにブッ倒れそうな勢いで叫んでいたオスマンだったが、不意に振り返ると水精霊騎士隊の面々の前に歩いていくと、一番端に立っていたギーシュの肩をぽんぽんと叩いた。

「うんうん。流石はわしが育てた者たちじゃ」

 オスマンの一言に、笑みを浮かべていたギーシュたちの頭部に『は?』といった疑問符が浮かんだ。
 確かにオスマンはこの魔法学院の最高責任者であるが、自分が育てたと言われる程の教えは受けていない。ギーシュたちとオスマンとの間に奇妙な沈黙が落ちる。それは次第に周囲に伝播し、歓声を上げていた生徒たちにも戸惑った雰囲気が広
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