第十六章 ド・オルニエールの安穏
第一話 パーティーにて
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「……結局なにもわからないまま、か」
「あ〜……それは多分あたし達のせいかもしれないわね」
「どういう事?」
肩を落としていたルイズが、聞こえてきた声に眉根を寄せながら顔を向ける。
「多分だけど、あの人はあなたとだけに話したい事があったのかもしれないわね」
「そうね。どうも話を逸らされた気がするし……それに……」
「あの方、何か隠しています」
「それって、どう―――」
キュルケやロングビルだけでなく、カトレアも何らかの確信を持った顔をしているのを、ルイズは何処か釈然としない様子で見ていた。
凛が消えた先のパーティー会場へとキュルケたちが顔を向けながら何やら話し合っており、ルイズがその中に加わろうと口を開こうとした時、
「あっ―――みなさん」
ティファニアがバルコニーに現れた。
パーティーのためドレスで身を飾ったティファニアは、女のルイズから見ても気圧される程の美しさだった。思わず溜め息をついていたルイズは、ふと、ティファニアが何やら挙動不信であることに気が付いた。
何故かバルコニーから出たばかりというのに、ティファニアはパーティー会場に戻ろうとするかのような動きを見せている。
「テファじゃない。どうしたの?」
「あ、その……ちょっと人がいないところへ行こうとしていたら、リンさんがここなら人が来ないからって教えてくれて、それと―――」
「それと?」
ティファニアが何やら躊躇うように口ごもるのを見て、ロングビルが先を促す。
すると、ティファニアはちらちらとルイズを伺うように見た後、何やら決心したように一つ頷いた。
「リンさんにここを教えてもらった時なんですが、皆さんに―――と言うよりも、ルイズに伝えてくれと言われた事が……」
決心したはいいが、やはり踏ん切りがつかないのか、ティファニアは頼るような視線をルイズの隣りに立つカトレアに向けた。
「大丈夫よテファちゃん」
にっこりと微笑むカトレアに促され、ティファニアは改めてルイズに向き直る。
「……その、リンさんからルイズに伝言です」
「な、何よ」
何やら不穏な空気を感じたルイズが、たじろぎながらもティファニアに対峙した。
凛と相対するかのような様子で睨みつけてくるルイズの視線に怯えながら、ティファニアは勇気を振り絞り凛から伝えられた言葉をそのまま口にした。
「えっと―――『今度、拠点用の家を買うから、士郎を借りていくわよ』……だ、そうです」
「―――なっ! なによそれぇ〜〜〜〜ッ!!??」
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