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剣の丘に花は咲く 
第十六章 ド・オルニエールの安穏
第一話 パーティーにて
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た。
 簡易とはいえ認識阻害の魔術を見破られた。何か探りを入れられれば気付いた筈。しかし、何の予兆もなかった。警戒し、より深くカトレアを見つめる凛であったが……。

「……ん?」
「何ですか?」
「……何でもないわ。気にしないで、こちらの話よ」
 
 戸惑った声が上がったことに、カトレアが視線を向けると、凛は隠すように片手で顔を覆ったまま小さく横に振った。

「?」

 顎に指を当て小首を傾げるカトレアに背を向けた凛は、じっと自分を見つめていたロングビルとキュルケに向き直った。

「で、私と話がしたかったって何かしら?」
「それはあなたも良く分かっているんじゃない?」

 キュルケは強調するように胸の下に腕を組み挑発的に話しかけてくる。
 凛は目の前で持ち上げられるキュルケの胸にこめかみをヒクつかせながらも、余裕を見せつけるようにバルコニーの柵に背中を預けた。

「……確かに、なら丁度良かったわね。今話そうとしたところよ」
「それは良かった。勿論あたし達にも話を聞かせてもらえるのよね。ああ、あなたの事については、そこのキュルケから大体の話を聞いているから」
「それは重畳。一々一人ずつ説明するのも面倒だし、ね」

 ロングビルの言葉にルイズの隣に立つカトレアに顔を向ける。凛の視線に察したカトレアは、笑顔を浮かべ頷いて見せる。

「じゃあ、教えてくれますか? ミス・トオサカ。あなたがここに来た理由について」

 代表するようにキュルケが一歩前へ出る。
 一歩近付いて来たキュルケの前に、凛は手を出し人差し指と中指の二本の指を立てた。 

「理由は二つ」
「二つ?」

 思ったよりも少ないのか多いのか、判断つかない顔でロングビルたちが顔を傾げる。

「一つはあなた達の考えている通り、士郎についてよ」
「……どうするつもりなのかしら?」

 自然と声が低くなりながら、ロングビルが問いかける。
 凛は小さく肩を竦めるとバツが悪そうに笑ってみせた。

「正直に言えば、まだ決まっていないわ」
「どういう事?」
「あいつは元の世界で色々とやらかしていて、下手に戻れば危険なのよ。だから現状無理に連れ帰ろうとは思っていないわ」
「そう、なの?」
「まだどうするか決まっていないというだけでしょ」

 何処か呆然としたような気の抜けた声を上げたキュルケが、胸を持ち上げていた腕を崩した。安堵するように息をつくキュルケに、しかしロングビルは視線を鋭いままであった。
 
「そうとも言うわね」

 凛の答えに緊張を取り戻しながら、キュルケは残り一つの理由について聞いた。

「じゃあ、残りの一つは?」

 キュルケの問いに、凛は柵に背を当てたまま逸らすように空を見上げた。
 何か考え
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