第十六章 ド・オルニエールの安穏
第一話 パーティーにて
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垂れ下げられた緞子を指差した。
一瞬の後、緞子が下ろされ、その背後に隠されていた者達の姿があらわとなり、生徒や教師たちから歓声が湧き上がった。
「そうっ、彼らこそトリステインが、いやッハルケギニアが誇る英雄たちっ! “水精霊騎士隊”と始祖の巫女たちじゃっ!!」
オスマンの宣言と共にこれ以上ないと言えた歓声が更に盛り上がる。
熱狂する生徒達の前には、正装した水精霊騎士隊とルイズやティファニアの姿があった。鼓膜が割れんばかりの歓声に迎えられたルイズ達は、カチコチに固まり鯱張った身体を更に固くしながらも、照れと興奮により頬を真っ赤にしていた。
自分たちと同じ学び舎で学ぶ学生たちが多くを占める騎士隊が、多大な功績を先のガリア王継戦役で上げたことを、魔法学院の生徒達は良く聞かされていた。その話はまるで大昔の英雄譚に匹敵―――いや、それ以上のものだった。その新たなる英雄譚の登場人物たちは、遠い異国の者や雲の上の階級の方等ではなく、普段自分たちと肩を並べていた同級生たちであった。いやがおうにも興奮は高まった。
「諸君も知っての通り、彼らは初陣にも関わらず、その功績は長いトリステインの歴史の中でも際立ったものじゃった。ロマリアの聖堂騎士たちすら蹴散らした虎街道での強力なゴーレムの一部隊を粉砕した一件だけでも、英雄譚に語られるには十分じゃ」
ゴーレムを倒したギーシュたちがリンゴのように頬を真っ赤に染めながらも、胸を張って湧き上がる歓声に応えてみせていた。オスマンはそんなギーシュたちの姿を嬉しそうに見つめた後、二人の騎士へと視線を向けた。
「しかし、彼ら水精霊騎士隊はそんじょそこらの英雄たちとは違ったっ!」
オスマンの視線に導かれるように、集まった生徒や教師たちの視線が一組の男女へと向けられた。
「そう、彼ら二人ッ!! 水精霊騎士隊の隊長エミヤッ! そして副隊長アルトリア嬢ッ! この稀代の英雄たちがいるからじゃッ!!」
オスマンは興奮が最高潮に達したのか、そのシワだらけの顔を火を噴くかのように真っ赤に染め上げながら、杖をまるでマイクのように両手で掴み今にもちぎれそうなぶっとい血管を額に浮かべ叫ぶ。
「副隊長であるアルトリア嬢は、何と単騎をもってかの最強を謳われたガリアの両用艦隊の二割を撃沈させっ! その余りの強さと美しさから味方だけでなく敵すらも“聖竜騎士”ッ! “竜騎士王”ッ! そう称えられる程じゃッ!! そして水精霊騎士隊隊長たるエミヤシロウのリネン川の中州での華やかでありながら圧倒的な一騎打ちの数々っ! そしてそれすらも霞む程の功績ッ! そうッ! 諸君らも耳にした者も多いじゃろうっ! ジョゼフがエルフの先住魔法を利用して生み出した巨大な炎の玉ッ! 都市を丸ごと燃やし尽くす
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