十二話:狂気の笑み
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の可能性もある」
「でも、シグナムはそんな人じゃないと思うよ」
「プログラムである以上、自分の役目を放棄するわけにもいかないだろう」
フェイトの反論をやんわりとしながらもハッキリと否定する。
例え、人格が清廉な人物として設定されていたとしても己が存在意義に逆らえるはずもない。
人間が意識して心臓を止められないように彼等にとってはリンカーコアの収集はそれだけ当たり前であり、絶対の目標なのだ。
それ故に解せない。主に忠誠を尽くそうとする騎士の姿が。
当たり前のように感じられるかもしれないが目的地が滅びならば主は人形でよく、忠誠を誓う必要などない。
さらに転生機能がある限り主とは取り換え可能な電池に等しいのだ。
それにも関わらず、守るだけでなく心からの忠誠を尽くそうとしている。
まるで、本来の目的はそちらだとでも言うように。
「これ以上は考えても仕方がないわね。今日はこれで解散します」
「分かりました。ああ、それとユーノ。君は明日僕について本局に来てくれ」
パズルのピースは一つずつ埋まっていく。
但し、運命がパズルの完成を待ってくれるかは分からないが。
草木も眠る丑三つ時。切嗣は海を見渡せる高台に来ていた。
今日ばかりは騎士達も全員が大人しく家で寝ている。
そのためはやてとその友人のすずかの護衛は万全だ。
では、なぜこんな時間にこんな場所で苛立たし気にタバコを吸っているのかというとだ。
「やあ、久しいね、衛宮切嗣。くくく」
「とっとと用件を言え。生憎と僕は暇じゃないんだ―――スカリエッティ」
闇夜の中でも目に付く、特徴的な紫の髪。
賢者のような知的さを含みながらも、狂気を体現したかのような黄金の瞳。
そして何よりも、道化の仮面のような、異形の笑み。
人を安心させるのではなく、絶望の奈落に引きずり込むような、歪んだ笑顔。
生命操作技術の基礎技術を組み上げた天才であると同時に広域次元犯罪者。
―――ジェイル・スカリエッティ。
「僕とあの子を引き離してわざわざ荷物の保証書に暗号を隠すなんて遠回りな真似をしてお前は何がしたいんだ」
「何、普通に会いに行っては面白みがないだろう?」
「そんなことだろう思ったよ…っ」
はやてに危害を加えることなどいつでもできると半ば脅しの様に送られてきた荷物。
わざわざ保証書に暗号を隠した謎解きのような無駄な手間。
そうして切嗣がこの場所に来るしかないように仕向けた理由。
聞く前から理解していた。だが、あれを理解していると認めるのは、ただ苦痛だった。
「くくくく、久しぶりの同僚との再会じゃないか。もう少し喜んだらどうだい?」
「同僚だと? ふざけるな、僕達を表
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