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潔を捨ててしまったというのですか?」
「あのね、ちょっと話が……」
こぁの言葉には、もはやなんの効力も存在しませんでした。
「信じられない……僕が、僕がこんなに君を愛していたっていうのに、他の、それも女に股を開いたっていうのかこの淫売が! 悪魔様が魅力的なのは分かるが、それにしたってこれはないんじゃないのか!」
「何よ、アナタこそ信じられないわこのマザー○ァッカー! 今日出会ったばかりの女性に不貞を働くなんてとんだ不埒者ですわね! こぁ様がどれだけ蠱惑的なのかはアナタなどよりもずっとよく知っていますし魅力的なのも全面同意しますが、だとしても酷すぎますわ!」
「……なんで褒められてんのアタシ」
……さあ?
「許せない……許せない許せない許せない! 君は僕に対して重大な裏切りをしたぞスベタめ! 悪魔様に働いてもらうまでもない! この手で成敗してくれる! そして僕は悪魔様とただれた生活を謳歌するんだ!」
「こっちのセリフですわこの節操なし! アナタが私に成敗されるべきなんです! ふしだら極まりないアナタになど、この世に存在していい理由があるわけないのですから! そしてアナタなどではなく、私こそがこぁ様の伴侶にふさわしいのです!」
「…………何の話だっけ」
…………さー。
「これでも食らえッ!」
「弾けて消えてしまいなさい!」
青年は、床に落ちていた儀礼用短剣を拾い上げ、
魔女はまさかの無詠唱呪文で呪殺を試み。
「ぎゃああっ!」
「う、ぐぇ……ッ!」
魔女の心臓には刃が突き立ち、青年の体は弾けて散らばりましたとさ。
「ええと」
展開についていけなかったこぁさんが、ぽつりと呟きました。
「……まぁ、お仕事はしたよな」
ぽりぽりとアタマをかきながら、ふたつの死体を眺めます。
とりあえず両想いにはさせたし、女の方は死んだしで、契約内容自体は完遂でした。手段と経緯が大分予想と違ってしまっただけで。
「魂、ゲットだぜー……ふぅ」
死体から抜き出したふたつの魂をかかげ、そんなことを口にしてみるも、実に虚しいこぁさんでした。
「……えー、マジかよぉ」
元呪いの館から飛び出ると、世界はとっぷりと夜の闇に浸かっていました。特に気にもせず、先ほど手に入れた魂ふたつの輝きを見極めます。
「この時代じゃこんなもんなのかなぁ」
寒空に、こぁの吐く白い息が霧散します。ひどくガッカリした様子。
それもそのはず、実際に手にした魂が、驚くほど『薄い』のです。
先述したとおり、魂には濃いものと薄いものが存在します。
質の違いは持ち主の身体的バイタリティと、野望や経験からの総合です。英雄的な身体や王様的野望の持ち主であればあるほど魂の純度と熱量は増大するのです。
「まぁ、そうだよな」
悪魔に頼るよう
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