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まさか依頼対象がモノホンの魔女だとは思いもよらなかったろうけど……」
「それでですね?」
こぁの独り言は当然のようにスルーされ、見習いさんが続けます。
「幼稚園の後も小中高大と一貫して同じ学校に入学し、同じクラスになれるようにずーっとお呪いをして、ライバルになりそうな女の子たちをことごとく皆殺しにしてきたのですけれど、それでも私、勇気を出すことができませんでしたの。
そしてこの度、ついに私たちの大学卒業が目前に迫ってしまいました……。このままでは、世界で最も美しく気高いあの方が、学舎から汚らしい俗世へ飛び出してしまいます。そうなれば、きっと世に溢れる薄汚い牝狐どもに狙われてしまうのですわ。そして、純粋無垢なあの方はコロリと騙されて……ああ、ああ!」
ギリギリと歯噛みしながら魔女さん(格上げ)。
絶望の未来でも幻視したのでしょう、目からは冗談と比喩表現を抜いた血涙をはらはらとこぼしております。リアルで見るとエッグイ。
「あーええと。美しさがどうのこうのはともかくだな、あいつそんなモテないと思───」
「あ?」
「ぁ、ぃゃ、なんでもないです」
「そうですの」
にっこり。
顔面を鮮血で染めながら、魔女さんは友愛の笑みを浮かべます。
「とにかくですわ。せっかく召喚が成功したのですし、このお願いを聞いていただきたいのです」
「お、おぅ……」
真新しいタオルでごしごしと顔を拭き洗いつつ、魔女さんが言います。こぁさん押され気味。
「…………ま、いーか」
しかし、こぁはこぁでめげません。
話を整理すればとても単純なお話なのですから。
「とにかく、フニャチ……そいつとお嬢ちゃんをくっつけりゃいーんだな? かんたんかんたん」
「本当ですのっ!?」
なにしろ、もともと彼女たちは両想いなのです。共に声もかけられないヘタレの極地というだけで。
ならば、順序さえ守ればいいだけの話でした。
「ホントさ。アタシに任せとけばぜーんぶ上手くいく」
「よろしくお願いします!」
「ほんじゃ、早速」
となると、残すところはひとつだけです。
「契約といこうか」
「は、はい。ええと、血で魔法陣を描いたりすればいいんですの?」
魔女さんが儀式用の短剣を抜きます。
「バッカおまえ、そんなもったいないことしてどうすんだ。血はちゃんと身体の中を巡らせておけよ」
「はぁ」
これもよくある勘違いのひとつです。
魔術の儀式で血がブシャー内蔵べちゃー首スパーンとかありますが、あれは遥か過去の不勉強がカタチとして残ってしまったモノです。
本来、血や魂といった悪魔に捧げられるものはすべて、『生きた人間』が所持しているからこそ価値があるのです。正確に言えば、体内を巡り、活きている状態に価値があります。外部に漏らしたらダメなので
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