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「早漏」
「ぐふぁっ」
こぁの一言に、男は血反吐をブチ撒けました。
「ほーけー」
「ぐあっ」
「短小」
「ぬぁあっ」
「テクなし根性なし」
「ひぎぃいっ」
青年はこぁが言葉を発するたびにもんどり打って転がります。一撃一撃が大だめーじの様子。
「……せめて絶倫とかさぁ、そんぐらいの特化がないとなぁ……。精子まで薄いとくるんじゃオハナシにも」
「くうっ……ぐくく……」
行為開始から7分が経ちました。
どうやらその短時間で、青年の、男としての自信のすべてが砕かれたようでした。
男というのは妙なもので、実際に経験したこともないのに『初めてでも自分なら上手くやれる』などというなんの根拠もない確信を抱いたりしたりしがちです。彼はまさにそのタイプでした。
「も、もう1回……」
「あーダメダメ。3分で4発も出してしかもヘバってんだもん、血混じりだし。将来性ないわ。あとおまえ、触りかた雑すぎ。ダイコンにぎってんじゃねーんだからよ」
「ぐぅぅぅ……!」
の音くらいは出しつつ、すっぽんぽんのまま男はうずくまり、はらはらと泣き崩れました。
契約自体は正常に交わされたのか、こぁはさっさと服を着て出立の準備です。
「そんじゃまぁちっと行ってくっから」
「行ってらっしゃいませ……悪魔様……」
「うむ、いい子で待ってろよフニャチン」
どうやら彼女たちの間で格付けが完了したようです。こぁは鷹揚にうなずくと、体を透過させて部屋から飛び発ちました。
「…………」
行為──もとい契約にさほど時間がかからなかったため、世界は未だ逢魔ヶ時。悪魔にかぎらず、妖怪変化や魑魅魍魎がもっともそれっぽく活躍できる時間帯です。
ついでに言えば、彼女にとっては久々の現世界。
数百年ぶりの異世界からの訪問に少なからず心のおどる瞬間……
「あー、メンドくさ」
のはずなのですが、彼女の思考はすっぱりと目の前一途でした。
空をかっ飛びながら、ため息を吐きます。
「どーっすっかなぁ……」
既に彼女の中で、仕事をこなすという意気は失われつつありました。理由は単純で、契約者であるあの青年が“薄い”という事実が判明したからです。
悪魔は女性の精気や男性の精液から魂の純度や熱量をはかることができます。
人間界隈での悪魔話にインキュバスやサキュバスがよく話題にのぼるのは、悪魔との契約にこうした理由での性行為が行われることが一般的だからです。
最近ではこうした行為がエロ目的の何らかのネタによく扱われますが、これは個人の資質を見極められているのです。
この機会で悪魔を満足させられなければ、望みを叶えてもらうどころかあらゆる凶事が契約者を襲いかねません。『行為の際に結んでしまった契約が邪魔になるので、遠回しに抹殺しよう』
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