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まつさえ結婚でもされようものなら辛抱たまらんから今すぐに殺して欲しいんだ!」
「わあ、クズぅ〜」
こぁさんにっこり。
依頼内容はともかく、青年の人間性はお気に入った模様。
「でもさぁ、この部屋とかメシとか見るに、お前けっこう金持ちだろ。スタッバーとか雇わなかったのか?」
「スタッバー? ああ、暗殺者のことか。もちろんそのぐらいのことは何度もしたとも。僕の手を汚すワケにはいかないからね。僕には輝かしい未来が待っているのだ」
とても愛したヒトに向けているとは思えないお言葉です。
「ほんで? なんで殺せてないのさ。あっちも金持ちで、優秀なガードがついてるとか?」
「いや、違う。彼女は見てのとおりの愛くるしくも狂気じみて可憐な絶世の美女ではあるが、単なる一般家庭の一人娘だ。何度も調査しているから間違いない」
「絶世かどうかはともかく……じゃあなんでさ」
「……それが、僕にもよくわからないんだ。依頼した暗殺者は全員、漏れなくこの現代の戦場を暴れ生きる凄腕だった。どいつもこいつも総殺害数は4桁という、人を殺すのが生業の連中だったんだ。けど……」
「けど?」
わけがわからないよ、と苦渋に満ちた顔で言います。
「その誰もが、彼女と相対する前にこの世を去った。そう、彼女に近づくことすらできず、どいつもこいつもなんだかよくわからん事故とか理由であああぁぁあもうあの無能どもめぇぇぇえええ!!!!」
いろいろ溜まっていたのでしょうか。そりゃあもう叫びに叫びます。
「あんっっっれだけニヒルな感じに暗殺者っぽい大口をこの僕に叩いておいて、前金分の仕事もこなせずくたばるってのは何の冗談だあの汚らしい人殺しどもめ!」
なにやらそれっぽいセリフでも言われた模様。依頼主にヒトクセありそうな含みのある言葉を吐くのは仕事人の義務です。
「しかも理由が『なんか下痢がひどくて気づいたら体中の水分が抜け出た』とか『明日の仕事に備えて早めに寝たらそのまま二度と目が覚めなかった』とか『家に近づいたら道路のマンホールがなんか開いてて落下死した』とか、あぁぁもぉぉお!!!!」
「……ふーん?」
テーブルをバンバン叩いて叫び続ける青年をよそに、こぁはなんとも微妙な表情でうなります。
「なんともしょーもない死に方ばっかりだな」
「そうなんだ! せめてそれらしい派手な戦死とかだったら僕だってこうまでムカつきゃしないのに!」
「一般少女相手に派手な戦死ってどうすんだい」
「そりゃーもう腹に爆弾でも抱えて対象もろとも自爆とかだな」
「どれだけ一般人が恐いんだ、そのスタッバーは」
単なる死にたがりの可能性も。
「ま、とにかくだ。そんなこんなで、今のところ彼女に近づくことすらできていないんだ。なんとなく、他の暗殺者を雇っても似たような結果になることが予感でき
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