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たまかりっ! 〜小悪魔魂奪暴虐奇譚〜

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長くすらりとした脚を組んで座りなおすこぁに向かい、男は短く言いました。
「女を殺して欲しい」
「女?」
「そう、この女だ」
 青年は、慣れた手つきで着ているジャケットの内ポケットから、一枚の写真を取り出しました。
 写っているのは、男と同世代と見られる少女でした。被写体の無防備さ、角度からして盗撮であろうことは明らかです。プロのお仕事。
 しかしこぁの目を惹いたのは被写体そのものでした。
 手を入れたものではない自然なブロンド。肩につく程度のセミロングには癖などなく、ただそうあるだけでどこか気品を感じさせます。顔立ちも整い、スタイルもバツグン。ですが完全な西洋人ではなく、典型的なハーフの美少女といった風です。悪魔としては殺害するには充分な理由、対象となりそうな───
「……女ぁあ?」
 が、こぁは不満たらったらといった顔で、不満だらけな声をあげました。
「そうだよ女だよ。なにが不満か」
「不満か? 何が不満かって? あーもうそりゃ不満だね。だっておまえ、悪魔だぞ? わざわざ悪魔なんざ召喚して頼むのが女殺しって。女が女を呪うってんなら理解もあっけどな。いい歳な野郎がこれって……あー情けな。あーくだらね。痴情のもつれとかもうさぁ」
「そのぐらい自分で殺れよなー」と呆れかえるこぁに、男が食ってかかりました。
「僕にこの手を汚せというのか!」
「……食いつくのそこかよ。いっそ清々しいなオイ」
「ふ、そう褒めんでくれたまえ」
 青年は頬を赤らめました。整ってみえる顔にキモチ悪さが見え隠れ。
 話が通じなさそうな相手とみるや、こぁは話題を切り替えます。写真をぴらぴらと揺らして、
「で、なんでこんな小娘を殺したいってんだい」
「聞いてくれるかお富さん!」
「誰だトミって」
「彼女と僕は幼なじみ……いや、幼知り合いなんだ」
「なんだ幼知り合いって」
 男は熱く、大げさなジェスチャーを混じえて語り出しました。
「僕と彼女はそれこそ幼稚園時代から知り合いなんだ! だが、15年以上同じ空間で育ち続けているのに、話したコトなんか片手の指で数えられるくらいしかない。これを幼知り合いと言わず何と言うのか!」
「……馴染みですらないってことね、はいはい」
「だが現実の関係とは逆に、僕の心は常に彼女のモノだった! 初めての出会いから僕の心は彼女に奪われっぱなしだ! 僕は彼女を愛している! ……ああ、だというのに、なんてことだ」
「声もかけらんねぇクセに愛だのなんだの……で、ボサッとしてるうちに、そいつにオトコが出来たってワケだ」
「いや?」
「お?」
 声が届いたことに驚くこぁさん。
「じゃあなんだっつんだよ」
「このままだと大学卒業して離れ離れになるんだ、僕らは。
 ───その後、目の届かないところで彼氏とか作られたり、あ
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