第29話
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んでいる。鎧も最低限なもので、動きやすさを重視したものだ。
そして注目すべきは彼女の身体、そこに刻み込まれている無数の傷である。
それは女の命とも呼べる顔にまで達しており、彼女がこれまでどれほどの鍛練を積み、実戦で鍛えてきたかが窺える。
通常、身体の傷は奇異の目で見られるものだが、袁紹とその家臣達にそんな様子は無く。どこか不安に思っていたのだろう、楽進は後ろに下がりながら小さく息を吐いていた。
「同じく三羽鳥の一人、于禁! 阿蘇阿蘇あそあそでも有名な袁紹様に会えて光栄なのー!」
次に前に出たのは于禁。彼女も栗色の髪を編みこんでいるが、楽進が後ろに流しているのに対し、于禁は横に結びつけてある。
服装も、周りの者達の中で袁紹の次に派手であり、眼鏡の縁に至るまで彼女のこだわりが見える。
阿蘇阿蘇の愛読者ということもあり、お洒落さんだ。
※阿蘇阿蘇……この時代のファッション雑誌、良く袁紹が扉絵を飾る。
実物の袁紹に会えたのが余程嬉しかったのか、于禁は黄色い声を上げながら握手を求めた。
彼女の突飛な行動に袁紹は面を食らったものの、最終的には笑顔で応じた。
「最後は私やな! 三羽鳥の一の出世株、李典といいます。以後よろしゅう!!」
唐突に聞こえてきた関西弁、袁紹は特に驚きを見せない。理由は二つ。
一つは、感覚が麻痺していること。斗詩や猪々子を始めとした英傑達が女性だったり、黄巾を率いた張角達がアイドルだったりと、時代錯誤かつ『知識』と違うそれは。袁紹の感覚を麻痺させるには十分で、今となっては大抵のことに驚かなかった。
そして二つ目だが――それは袁紹の目線の先に理由がある。
(たわわな果実が実っている!)
何が、とは言うまい。李典の可愛らしい顔立ちや、髪留めでツインテールにしている薄紫の髪形など、彼女を客観的に評価する部分は他にもあるはずだが。彼女が持つ豊かなそれは、他の印象を鈍らせるほどに破壊力を――
袁紹はかろうじて李典の顔から目を動かさなかった。少しでも油断すれば目線が下がるため、必要以上に目力が入り、李典が首を傾げている。
(さすが麗覇。彼女の才を見抜いたようね)
そんな袁紹を見て勘違いしている娘がいるが――触れないでおこう。
「ちょっと麗覇様」
華琳達を目力で誤魔化した袁紹だが、流石に付き合いの長い家臣達は騙せず。頬を引き攣らせた桂花が顔を覗き込むように、語りかけてきたが――
「あら、貴方が荀ケね。噂は色々聞いているわ」
「え!?」
華琳に声を掛けられ動きを止める。ただ話しかけられたようだが、実は違う。
「な、何故私の名を?!」
別に桂花は自分の名を低く見ているわけではない。やる事なすこと全て
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