暁 〜小説投稿サイト〜
恋姫†袁紹♂伝
第29話
[4/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


「はいはーい、次はボク! 同じく曹操様の親衛隊隊長の一人で、春……夏侯惇様の補佐。許緒と言います!」

 次に前に出たのは、典韋よりも長めな桃色の髪を頭上で束ねた。二つのお団子が特徴的な許緒だ。
 典韋と変わらぬ年齢で、二人は幼馴染だとのこと。
 元気良く自己紹介する姿は愛らしく、こちらも成長が楽しみである。

「へへーん、流琉より上手に挨拶出来たもんね」

 余程嬉しかったのか、許緒は典韋に絡むような言葉を発した。
 それを聞いた典韋は、頬を僅かに膨らませ反論する。

「む、季衣も春蘭様の真名を言いかけたじゃない!」

「でもボクは言わなかったよーん」

「私の言葉を真似て自己紹介したくせに」

「なにおー!」

「何よ!」

 売り言葉に買い言葉。そんな調子で口論していた二人は、気がつくとポカポカと可愛らしく殴り合いを始めていた。
 同い年で幼馴染、同じ陣営で同じ役割。互いに思うところがあるのかもしれない。
 きっとこの二人は良き友であると同時に、高みを目指しあう好敵手ライバルでもあるんだろう。

 見かねた夏侯姉妹が止めに入り、華琳が袁紹に謝罪を口にしたが。
 彼は特に不快感を抱かず、むしろこの空気を好んだ。

 


 袁紹が普段良く口にする名族の名は伊達ではない。彼と対面するほとんどの者は袁の名に萎縮し、何を話そうにも世辞や建前が前提になる。
 内を晒しながら彼と会話できる者は少ない。名族に生まれ落ちた定めと、当の昔に受け入れてはいるが、寂しくもある。
 
 故に、斗詩や猪々子を始めとした彼の家臣達。華琳や白蓮などの、萎縮することなく同じ目線で会話出来る者は貴重である。
 そして二人の少女は、袁紹に萎縮することなく自己を表現した。彼はそれが嬉しいのだ。

 最も、華琳と袁紹のやり取りで緊張が薄れただけなのだが――……。



 少しして、二人の少女がお互いの姉貴分に取り押さえられると。まだ紹介を済ませていない三人が袁紹の前に出る。
 ふと、先程まで騒いでいた少女達が気になり耳を澄ますと、離れた所で説教ほする声が聞こえてきた。

『駄目だぞ流琉。売り言葉に買い言葉になることは、流琉なら予想出来たはずだ』

『はい……、ごめんなさい秋蘭様』

『駄目だぞ季衣、徒手空拳の場合は相手の動きを良く見てこう。ダー! ズバッ!って感じだ』

『はい春蘭様!』

 軽く諌める秋蘭の言葉に紛れ、妙なモノが聞こえた気がするが――きっと気のせいだろう。

「三羽鳥が一人、楽進。曹操様に見出され、末席に据えて頂きました。お見知りおきを」

 袁紹が軽く現実逃避していると、残った三人の内一人、楽進が名乗りを上げた。
 銀髪で前髪が短く、長い後ろ髪を編みこ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ