第29話
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、袁紹が上に乗ると一変。ありえない速度や俊敏な動きを可能にし、その力たるや、かの王佐の才を苦戦させるほどである。
このように袁紹が『こだわり』を持って行うことは、常人には真似できないものになるのだが、その中の一つに『身嗜み』も含まれていた。
名族として内も外もそうあろうとする彼は、見格好を整えることに余念がない。
特に髪にはこだわりがあるようで、手入れは一日も欠かさず。少しの乱れも許さない。
※止む終えない場合を除く(意味深)
そして話しは戻り、何故瞬時に見格好が整えられたかだが―――なんてことはない。ただ埃を叩き落としただけである。ただし『恐ろしく速い速度』で。
「はぁ……まあいいわ。貴方の規格外は、今に始まったことではないもの」
溜息を洩らしながら『麗覇ならしょうがない』と、華琳は無理やり自分を納得させる。
思考停止しているかのような安直な考え方は、彼女の苦手とするところだが。奇想天外な名族を友とし、私塾を過ごしていく上で身に付けていた。
袁紹のやる事なすこと全てに驚いていては、身体がもたないのだ。
「む、良く見ると新顔が多いではないか?」
「自慢の娘達よ、皆、挨拶なさい」
「華琳様の親衛隊隊長の一人で、秋蘭様の補佐を務めてます。典韋です! よろしくお願いします!!」
元気良く口火を切ったのは、短髪で淡い青髪の少女、典韋だ。
音々音の二回り年上といった感じだが。その瞳は理知的で、将来が楽しみな娘である。
「……華琳。いくら同姓とは言え、限度というものが――グフッ!?」
※無言の腹パン
「彼女は閨要員ではないわ」
「っ〜〜……とか言いながら、十分育ったら美味しく頂こうとか――おい華琳、何故目を逸らす」
やはり何か後ろめたい企みがあるのか、袁紹の言及に華琳は答えなかった。
(まだ……まだよ、あの娘達はまだ青すぎるわ。穢れを知らない少女もまた一興だけど、どうせ頂くなら期を見てから――つまり、あの娘達が性に興味を持ち始めた頃あたりで――)
そして何かを呟きながら自分の世界に入ってしまう。こうなるといくら聞いても反応は無いだろう。袁紹は渋々追求を諦める。
「流琉、自己紹介の時に真名では駄目だぞ?」
「あ!? そうでした!!」
「フフ……だが、聞き取りやすく丁寧な良い自己紹介だった」
「秋蘭様……ありがとうございます!」
妙なやり取りをしている袁紹達を他所に、秋蘭と典韋の二人は微笑ましい光景を作り上げていた。彼女達の様子を見るに、姉妹のような仲なのだろう。
面倒見が良く、褒めて伸ばす秋蘭。そんな彼女を尊敬し、多才に慢心せず己を磨き続ける典韋。
春蘭が聞けば嫉妬するだろうが、似合いの姉妹である。
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