Fate/stay night
1141話
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柳洞寺の件が終わり、家へと向かっている中で綾子が呟く。
「なぁ、遠坂。本当にあれでよかったのか? 葛木がやった事を考えれば、もっと厳しい処分とか……」
「あのね、綾子。葛木自身は殆ど何もやってないのよ。もし葛木がガス漏れ事件を起こすように命令していたとかなら、私は冬木のセカンドオーナーとしては処分しないといけない。けど、それだって言ってみればあくまでもセカンドオーナーだからこそなの。魔術協会だったら、魔術を隠蔽している以上は特に何も行動を起こさないでしょうね」
「それは……何だか納得出来ないな」
綾子の気持ちは分からないではない。基本的に義理堅い性格だってのもあるし、何より綾子自身が担任である葛木のことを尊敬していたんだろう。
それだけに、人死にが出ても全く構わない。いや、それどころかもっとやれといったのが許せなかったのだろう。
まぁ、数日しか学校に通っていない俺でも、葛木が生徒に慕われているというのは十分に分かったけど。
……そう言えば、もう2度とこの地に戻ってこないって事は、当然学校も辞める訳だ。
となると、今が休校なのはある意味助かったのかもな。
もしも明日も普通に学校があるのであれば、明日いきなり担任が消えたってことになってたんだろうし。
「納得出来ないのは分かるけど、もう綾子もこっちの世界の住人なんだから、慣れなさい。そうじゃなきゃ、この先やっていけないわよ。特にこの聖杯戦争は、ね」
綾子へとそう告げる凜は、こうして見る限りどこか憂鬱そうな表情を浮かべていた。
それ以後は特に誰が何かを言うでもなく、ただ無言で歩き続ける。
2月の、しかも夜だ。当然気温は寒い。
無言で歩き続けていると、凜が、そして綾子がそっと手を伸ばして俺の両手を握り、3人で月明かりに見守られながら夜道を歩く。
そこにあったのは、先程までと同じ沈黙。
ただ、嫌な沈黙ではなく、どこか安心感を覚えるような沈黙だった。
……まだ学校の生徒の多くは入院していると思うけど、もしこの光景を誰かに……それこそ……
「蒔寺に見られたら、面白おかしく噂を広められるだろうな」
「え?」
俺が思っていたのと全く同じ言葉を告げた綾子の言葉に、思わず聞き返す。
「ふふっ、確かにね。で、結局は私と綾子に思い切り責められるんでしょ?」
「あははは、確かにそうかもしれないな。今はあたし達だけだから、こうしてアークと手を繋いでいても人に見られる心配はないけど、さすがに人前でこういう風に手を繋ぐ勇気は持てないな」
「そうね、こう見えても私は学校で人気あるし」
ただ手を繋ぐのではなく、手の指の間に指を絡める手の繋ぎ方。
以前蒔寺が何かの拍子に言っていた、恋人繋ぎって奴だろう。
右が凜、左が綾子とそれぞれ
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