地雷
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結果空振りに終わるものの、さっきの針のように一部の流れ弾がまだ体勢が立ち直っていない局員達にも飛来する。わざと射線上に行くよう仕向けている辺り、ラタトスクの嫌味な性格が滲み出ているが、サバタ兄ちゃんは狙われた局員が攻撃に気付く前に暗黒剣や銃で撃ち落として事無きを得た。そして暗黒転移を交えながらビルの合間を駆け下りたり、黒いオーラの腕を使って跳躍して動き回るサバタ兄ちゃんは、異次元転移を繰り返すラタトスクの転移先を推理し、現れた瞬間に暗黒剣の一撃を届かせた!
「ぐぁっ!!?」
「ちっ、浅い!」
「まさか今のわたしに攻撃を当てるとは……見事ですねぇ!」
「貴様の余裕もここまでだ、俺の力で噛み砕く!」
言葉を交わしたのもつかの間、またしても魔導師の転移魔法では明らかに間に合わない超高速転移合戦が再開する。私達では彼らの正確な位置を把握する事すら困難な……次元世界はおろか、世紀末世界でも類を見ない激戦。それを目の当たりにした私は、自分なんかではあの戦いに入る事すら許されないと思い知ってしまった。
「ふむ……あれほどの戦いでは、俺すらも足手まといにしかならない。なら彼の代わりにファーヴニルの方をどうにかするとしよう」
「どうにかって、どうするんですか? エナジー無しの魔法で攻撃し続けたら、さっきのようにまた自己再生されてしまいます。何か対策でも?」
「対策とは言い難いが、一応な。魔法は身体強化のみに用い、砲撃魔法や射撃魔法などを使わないで戦えば、ファーヴニルの自己再生を促す確率を可能な限り減らせる。ヤツの正面にいる質量兵器が他にもあれば話は簡単なのだが……管理局の質量兵器を嫌う性質が今回仇となった。魔法だけに頼る事の脆弱さを説いていたレジアスの理論は、ある意味正しかった訳だ」
「はぁ……」
「俺はレジアス達にこの話を伝えに行く。お前は別の指揮官にそれを伝えてくれ」
そう言い残し、ゼスト隊長は斬り落とされたファーヴニルの右腕の向こうで部隊を再展開しようとしている局員達の所へ飛んでいった。彼は……自分が今やるべき事をやろうとしていた。私も……動かないと!!
ゼスト隊長が向かったのと反対の位置である、謎の魔導師達が戦っているファーヴニルの左腕の方へ向かう。そこではさっきの雷で吹き飛ばされた局員や、サバタ兄ちゃんに見えない内に守られてここまでたどり着いた局員達が集まって、反撃の準備を進めていた。彼らにそうするよう指揮していたのは、私の知っている人やった。
「ゲンヤさん!!」
「ん? 八神じゃないか。お前さんがこっちに来たってこたぁ、まさか選抜部隊がやられたのか!?」
「はい……。ファーヴニルの手痛い反撃をまともに喰らって……ほとんどのメンバーが氷漬け、及び戦闘不能にされてしまいました」
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