§38 宿命の二人
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ったら「ファミレスの前でゲームのエロ装備について議論する二人の男」などという非常によろしくない構図になってしまうこと請け合いだ。
「三人は無事です。……事後処理は非常に骨が折れましたが」
表情が抜け落ちた甘粕は語る。
「事後……処理……?」
「はい。あの方々の根性は筋金入りですね。「あの感触忘れてなるものかー!!」などと言い放ち記憶改竄に抵抗しましたからね。こちらのトップエースでようやく記憶改竄に成功する有様で」
「な、なんかすいません……」
彼らの変態パワーは黎斗の予想以上だった。まさかそこまでとは。甘粕達に本当に申し訳ない。
「いえいえ。あの御方を翻弄するくらいですから、予想の範囲内といえば範囲内だったんですよ、はは……っと、立ち話もなんですし、そろそろ入りましょう」
確かにあまり店前で長時間の立ち話は拙い。営業妨害になりかねないし。意を決して扉を開く。からんからん、と音が鳴った。
「貸切です。そのままどうぞ」
甘粕の促しに従い、前進。一番奥の座敷の前へ。クラス一つほどの大きさの個室のようだ。ここまでのサイズの部屋となると滅多に入らないから、粗相しそうでなんだか怖い。
「さて、鬼が出るか邪が出るか……!!」
襖を開けて入室する。恵那の師匠(らしき人)達、沙耶宮馨とそうそうたる顔ぶれだ。目に入ってきた陣容に思わず舌を巻く。
(なんでこんなことになるんだよ……!!)
これでは注目の的ではないか。心の中で悪態をつくがもう遅い。諦めの境地に達しつつも見渡すと、いつぞやの少年と視線が合う。
「あ」
黎斗が漏らした声に反応しビクッ、と震えた隻腕の少年。あの腕そろそろ返した方がよいだろうか、などと場違いな事を考えていると一人の少女が目にとまる。例によって美少女だ。この少女以外は何処かで見た顔ぶれなのだが、つまりはこの少女こそが魔王なのだろうか。まさか隻腕の少年や沙耶宮馨がカンピオーネ、というわけではないだろう。
「な、なんで正座……?」
圧倒的違和感だった。威風堂々としており覇者の気配を纏う少女が、正座。しかも両目を瞑っている。まるで何かの懺悔のように。なんでだろう。周囲も彼女をどう扱ってよいかわからず混乱しているのが手に取るようにわかる。
「改めて、名乗らせていただきます。あの時は名乗っておりませんでした故」
黎斗の声に反応するかのように、少女は目を開け言葉を放つ。あの時?
「私の名は羅翠蓮、と申します」
羅濠教主の完璧なまでの下手の対応。彼女を知る者が、軒並み驚きに目を見開く。こんな彼女は彼女で無い、と言わんばかり。
「家を破壊するご無礼、本当にすみません。後程私の方で
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