第165話 復讐の顛末 後編2
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で照らされた。蔡仲節だった。彼は衣服は言うに及ばず顔も泥と土で汚れていた。彼は土で汚れた手で自分の顔の汗を拭い緊張した面持ちで蔡平を見ていた。
蔡平は蔡仲節の顔を確認すると憎悪に満ちた瞳で睨み剣を正眼で構えた。彼女から溢れ出る殺意に蔡仲節はたじろいだ。
「貴様! 丸腰の私を殺す気か!」
蔡仲節を悲鳴染みた声で蔡平に怒鳴った。蔡平は蔡仲節の情けない姿に軽蔑した表情になるが直ぐに睨んだ。
「だから何だ。母さんは病気で死んだ。お前は無抵抗の爺さん婆さんを殴り殺したじゃないか!」
蔡平は平静を装い蔡仲節を非難したが、最期には怒りが抑えることが出来なかったのか声を荒げ瞳から憎しみの涙を流した。
「老いぼれどもが死んだのはお前が儂を殺そうとしたからだろうが! この私が何故責められなければならない!」
蔡仲節は逆切れし蔡平を罵倒した。彼の中では蔡平は血が繋がっていようと娘ではないだろう。
「うるさい」
蔡平は低い声で蔡仲節を制止すると、彼女は剣の握りを強く握りしめ蔡仲節に目掛け振り下ろそうとした。蔡仲節は咄嗟に地面の土を蔡平に目掛けて蹴り目つぶしした。
蔡平は咄嗟のことでたじろぎ動きが鈍る。蔡仲節はこれ幸いと蔡平の体勢を崩そうと突進してきた。体格の良い蔡仲節の体当たりで蔡平は体勢を崩し倒れるが剣を手放すことはなかった。蔡仲節はのっそりと立ち上がると憤怒の表情で蔡平を見下ろし睨み付けた。
「この糞餓鬼が! 庶子の分際でなんたる態度か。所詮、阿婆擦れの娘ということか。村に住まわせやっただけ感謝しておればいいものを! この私を殺そうとはとんだ塵虫め」
蔡仲節は怒り狂い蔡平の腹に右足で蹴り上げたが彼は悲鳴を上げ体勢を崩した。
「あぐぐぐぅああ。うぐぁああ」
蔡仲節は言葉に鳴らないうめき声を上げながら右足に手をやった。彼の右足には剣で叩きつけたような深い傷で肉が開き隙間から少し骨が見えていた。彼は突然襲った痛みに声を出せず、体をふらつかせていた。蔡平の存在など気にしている余裕などないようだった。
蔡平は苦しむ蔡仲節を余所にゆっくりと立ち上がった。彼女の右手に剣がしっかりと握られていた。剣からは一筋の血が滴っていた。彼女は苦しそうな表情で乱れる息を整えようとしていた。
「お前を殺す」
蔡平は殺意と悲しみがない交ぜになった目でのたうち回る蔡仲節を見つめていた。彼女の瞳からは涙がこぼれ落ちていた。彼女は剣を一際強く握っていた。彼女が蔡仲節を殺す覚悟は出来ていた。元々から蔡仲節と蔡平の間に親子の情などなかった。蔡仲節の態度は蔡平の背中を押すには十分だったのだろう。
蔡平は苦しむ蔡仲節のことなどお構いなしに剣を蔡仲節の首目掛け全体重を乗せ剣を突き立てた。彼女がはじめて罪人を処刑し
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