第165話 復讐の顛末 後編2
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女がそれなりの身分であることが窺えた。
「蔡徳珪、正宗様には一歩も近づけません!」
正宗軍の歩兵達に遅れて朱里が騎乗し正宗に駆けてきた。女騎兵は憎しみに満ちた目で正宗と朱里を睨み付けた。正宗は彼女が蔡瑁であると理解したのか一際険しい目で睨み付ける。
正宗は三度刺客を送られた。一度目の暗殺目標は美羽だったと思われるが、その後の二度の刺客は正宗個人を狙うものだった。正宗も蔡瑁に遺恨があっても致し方ない。
「劉正礼がここに居ると言うことは奴らは蹴散らされたということか。所詮は食い詰め者ということだな」
蔡瑁は正宗を忌々しげに口を歪め愚痴った。彼女の口振りから魏延が率いる別働隊が正宗によって撃退されたと理解したようだった。
「蔡徳珪、初めて対面するな。余に。いや皇帝陛下に何か申し開きがあるか?」
正宗は蔡瑁の発した言葉に触れず、冷静な様子で蔡瑁に対して声高に言った。蔡瑁は彼の言葉を聞き終わると鼻で笑い睨み付けた。彼女の表情は心底不愉快な様子だった。
「申し開きだと?」
蔡瑁は声を大にして笑うと血走った目で正宗を睨み付けた。正宗に向ける視線は仇に向けるそれと同じだった。
「我が一族を散々嬲った貴様に申し開きなどない! 倫陽の首を落とし、私に送りつけたこと私は未来永劫忘れぬぞ!」
蔡瑁は怒りに震えながら正宗に叫んだ。
「余に落ち度はない」
正宗は冷静な表情で蔡瑁を見た。
「落ち度がない?」
正宗の言葉に蔡瑁は正宗を睨み付けた。
「お前の妹の死だけでなく、全てはお前が袁公路を暗殺せんとしたことが発端だ。余は降りかかる火の粉を払い除けただけのこと。それのどこに落ち度がある」
正宗は平静な表情で蔡瑁に言った。
「だから何だ! お前が倫陽を殺したのは事実ではないか! そして、今は我が一族を滅亡させようと企んでいるではないか。このままでは済まさんぞ!」
正宗は蔡瑁の弁解を聞き失望した表情を浮かべていた。
「お前のために死を選んだお前の妹が哀れでならん」
正宗は悲哀に満ちた目で蔡瑁を見た。
「何だ? その目は? この私を馬鹿にしているのか? 許さんぞ! お前だけは絶対に許さん!」
蔡瑁は正宗を睨み付けると、周囲を見渡し包囲の緩い部分を見つけると自らが騎乗する馬の横腹を蹴り勢いよく方向を変え一人離脱していった。蔡瑁の周囲にいた彼女の蔡瑁軍の兵子達はその様子を一瞬凝視して視線を動かしていたが、事態を理解したのか慌てて逃げ出した。彼らを行動を見た他の蔡瑁軍の兵士達も伝染したように逃げ出した。
正宗軍の兵士達は撤退をはじめた蔡瑁軍の動きを攻勢と見て追い打ちを駆けようと動き出した。
「蔡徳珪軍を追うな!」
正宗は馬を走
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