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ソードアート・オンライン -旋律の奏者-
アインクラッド編
龍皇の遺産
龍皇の遺産 02
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けたわけではなく、ディオ・モルティーギできちんと受け止めていたらしい。 HPの減少はそこまでではなかった。

 安堵の息を漏らす頃には、僕は既に龍皇との距離を詰め、雪丸を振り下ろしていた。
 アマリに意識を割いていたのか、はたまた敏捷値が低いのか、雪丸は狙い違わずに龍皇の首を斬りつける。 が、防御値が異常に高く設定されているらしく、雪丸を持ってしても微々たるダメージしか受けていない。

 (まあ、それでもいいけどさ……)

 ダメージを受けなかったところで、僅かに怯むことに変わりはない。 そして、その僅かな隙が僕の狙いだ。 僅かな隙があれば、ソードスキルを使える。

 使用するのは《血桜》。 妖しい紅色の一閃は、狙い通りに龍皇を吹き飛ばした。
 当然と言えば当然だけど、ドラゴンタイプのように巨大なモンスターを吹き飛ばすことはできないけど、今の龍皇は龍人としてのそれだ。 吹き飛ばすのは容易い。 それでも恐ろしい防御値によって、与えられたダメージは1割にも満たないけど。

 「あっはー、ビックリしたですよー。 まさか、私が力勝負で押し負けるなんて、ちょっと屈辱です」
 「アマリが押し負けるなら、僕なんて紙屑同然だろうね。 でもまあ、僕としてはあっちの方が殺りやすいけど」
 「じゃあ、いつものようによろしくです」
 「はいはい」

 隣に立ったアマリに苦笑いを返しつつ、僕は雪丸の切っ先を龍皇に向ける。

 凄まじい筋力値を有する代わりに、敏捷値はそこまで高くないのだろう。 初手のアマリに接近した時のあれは、筋力値の補正がかかる跳躍で、だから速かっただけだ。 だとすれば、直線的な移動は可能でも、小回りは効かないと言うことで、それはつまり、僕にとっては格好の獲物だ。

 先に動いたのは僕。

 吹き飛ばした龍皇との距離を一足で詰め、ソードスキルを使わずに雪丸を振るった。
 とは言え、薙刀は基礎攻撃力のパラメーターが軒並み低い。 一部に例外はあるものの、そもそも薙刀は女性が使う武器と言う色が強いからだ。
 史実的な話しをすれば、平安時代の武士が好んで使った雄々しい武器ではあるけど、現在の武道としての薙刀(正確には平仮名表記で、なぎなた)は圧倒的に女性の競技者が多い。 だからだろうけど、SAOの薙刀も筋力値が低くても使える物が多いのだ。
 閑話休題。

 言ったように龍皇の防御値はかなり高い。 対して僕の筋力値はかなり低い。
 けど、ここで活きてくるのが薙刀の特性だ。

 僕の相棒、雪丸は柄だけで6尺(約180cm)もあり、刀身を含めた全長は9尺(約270cm)にもなる。 SAOに存在する長物武器の中でもトップクラスの長さだろう。
 長い。 それはつまり、間合いが広いと言うこと。 そして、間合いの広さは使用者
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