アインクラッド編
龍皇の遺産
龍皇の遺産 02
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の中央に向かって急降下を始めたのだ。 中央?
その攻撃に、僕は益々首を傾げる。
僕とアマリはそれぞれ散ってはいるけど、部屋の中央にいるわけではない。 当然、そこに向かって急降下しても僕たちに対する攻撃にはならないだろう。
(つまり、攻撃じゃない?)
あるいは、着地の衝撃に攻撃判定があるのかもしれないと警戒してはみるけど、もしもそうだった場合は衝撃波のエフェクトが見えるので回避は割と簡単だ。
と、
(…………)
そこで、
(…………っ!)
何故かは分からないけど、ゾッとした。
「アマーー」
アマリの名を呼ぼうとして、けれどその声はスヴァローグが地面に衝突した時の爆音で掻き消される。 警戒していた衝撃波のエフェクトは発生しないけど、代わりにとてつもない噴煙が立ち上ったのを見て、僕は戦慄の正体を悟った。
そう。 違和感はずっとあったのだ。
単純で、だからこそ見落としていた違和感。
スヴァローグはドラゴンタイプだ。 フォルムは分かりやすい西洋龍のそれで、フロアボスだった頃とまるで変わっていない。
けど、けれどだ。 依頼主であるヴェルンドさんは龍人族を自称していたし、その姿はまさに龍と人との中間に位置する龍人そのものだった。 そんな龍人族の彼は言った。 龍皇のことを指して『我ら龍人族が長』と。
それは龍皇もまた、龍人族と言うことに他ならない。 そもそも、ドラゴンタイプのスヴァローグがどうやって剣を使うと言うのだ。
愛剣と言う以上、剣を日常的に使っていたはずで、つまり、龍皇も龍人の姿になれると言うことだ。
僕がその結論に達した瞬間、再び部屋中に突風が吹き荒れた。
着地の衝撃による噴煙が晴れ、そこにいたのは大剣を振り切った姿勢の龍皇だ。
紅蓮の髪と瞳を持つ龍人族の長が、その逞しい両腕で大剣を手にそこにいた。
「アマリっ!」
今度こそアマリの名を叫んだ。
瞬間、龍皇の巨躯が霞むような速度でアマリへと飛ぶ。
その攻撃が予想外だったのか、あるいは予想通りだったけど避けられなかったのかは分からない。 そのどちらであったところで同じことだろう。
「う、ぎ……」
アマリが短い呻き声と共に吹き飛ばされた。
それは、まるで冗談のような光景だ。
小柄な身体に不釣り合いな筋力値と、圧倒的な重量を誇るディオ・モルティーギを有するアマリが吹き飛ばされるなんて、フロアボスの一撃を正面から受け止めない限りはそうそう起こらない現象だ。 つまり、今の攻撃はフロアボスクラスと言うことになる。
それでいて霞むような速度でアマリとの距離を詰めた機動力は、明らかに僕より速かった。
とは言え、アマリもただ攻撃を受
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