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Muv-Luv Alternative 士魂の征く道
第四一話 遠謀深慮
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を含めた古今の政治体制の中で最も長命だったのが江戸幕府だろう。その国家としての寿命は最長、崩壊の原因もペリー来航という外的要因だったのはそれだけ、その治世の完成度の高さを証明している。

「こちらの準備が整うまでの間、榊には是非とも頑張って貰わねばならないな。」
「ええ、今は雌伏の時。我らは影より彼の奮闘を見守るとしましょう。……ああ、それと彼奴の機体の手配が完了しました、ご確認をお願いします。」

少し面白げに口ずさむ斑鳩崇継に真壁が答えていると、不意にその手に持つ資料を思い出し、それを手渡しながら報告する。

「工廠の皆には苦労を掛けるな、普通の要人ならともかく摂家の軍人が自機もなく……というわけにはいかんからな。」
「普通に瑞鶴を一機手配すればいいものを、何故わざわざこのような仕様に?」

主を眺める資料に疑問を挺す真壁助六郎。
通常であれば摂家専用機である瑞鶴タイプRはメインカメラの細か仕様を除けばその他の機体と基本仕様は変わらない、単なる色違いだ。
しかし、その瑞鶴には各種最新アビオニクスへの換装をはじめとした近代化改修に加え、両前腕肘側に“ブレードマウントを追加した”【規格外品】だったのだ。

「ふっ、それは奴が大陸で一番使っていた現地改修機を再現しつつ整備したものなのさ。」

現地改修機、多くの前線では補給が滞ることがよくある。
しかし、仮にも戦線の最前線、中破や大破した機体も当然多い。また衛士の要望や、戦況上仕方なく本来ならばあり得ない仕様に変更したり、保守パーツが足りなく別機種のパーツを移植し戦線復帰した機体などが散見されるようになった。

こういった、継ぎ接ぎで突貫的に作成された本来の仕様を逸脱する改修や修復を行われた機体が現地改修機と呼ばれる機体群である。



「奴には存分にその腕を振るって貰わねばならんからな。その為の甲冑だ。―――良きに計らってくれ。」
「御意に。」


遠望深慮の微笑みを携えたまま斑鳩崇継は忠臣に命を下す。

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