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Muv-Luv Alternative 士魂の征く道
第四一話 遠謀深慮
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要な要因となり得ます。人道云々語っていては反って要らぬ戦火を招くこととなる。」

「だからこそ奴なのだ。摂家のモノは常に臣民の前に立たねばならぬ。それは何も戦場だけとは限らない。
 しかし、そうなると我が国でもその類の研究をせねばならんな……盲ろう患者などの治療という名目で大規模治験をするしかないかな?」
「人材という資材の有効活用、という面では合理的でしょう。………気持ちのいい話ではありませんが。」

言外に、障碍者を人体実験の材料にする。といった斑鳩に眉を顰める真壁。

「確かに…な、だがな真壁。不可能を不可能のままにしておくことはどんな暗愚でもできる。
苦痛を苦痛のまま我慢させる、我々はそれであってはならない。我々はマザーテレサであってはならない。」

貧しいもの、余命幾ばくもないもの、不自由なもの。それらにただ我慢だけ敷いたマザーテレサ。
それで救われた人間も確かにいるだろう、だがそれは何の解決も示さなかったただの慰めに過ぎない。

臭いものに蓋をしただけだ。
それでは無意味だ、そうであってはならないのが為政者だ。元を断たねば何の解決にもならない。

故に、多少の犠牲が出たとしても、為さねばならない。
最上の命医が地獄に落ちるように、地獄への道が善意で舗装されているのだとしても、非人道だと糾弾されたとしても――――進まねばならない。

医療とて、数多の失敗を次に繋げその結果確立された手法なんぞ腐るほどにある。それは過去の患者の実験結果によるものに他ならないのだ。


「確かに、過程の正否など結果で幾らでも流し去ることができます。
リスクを恐れ、何もしないのは慎重ではなく唯の臆病。確信なく突き進むのは開明ではなく無謀―――今の政治体制が何の成果も出せていない現状、果たして何時まで続くでしょうか。」

例えば、今主権を握っている榊。彼は斑鳩崇継らから見ても傑物だ。
動かしにくいことこの上ない民主制度下で現実を全く見ていない野党や人権団体、マスコミ等を相手に足を引っ張られながらも、よく日本を持たせている。

しかし、悲しいかな。社会問題に対する自己解決能力を欠くという性質を持つ民主政治体制である限り、BETAには勝てない。
責任を取りたくない責任者たちが責任者の座を巡って足の引っ張り合いを繰り返すのだから。

民主政治はたやすく腐敗し、それは国難を呼び、やがて人々は英雄を求め、君主制に戻り、そして革命によって民主制に戻るという説を立てた歴史家がいた。
荒唐無稽と言われてはいたが、ある意味、間違ってはいないのかもしれない。

実際、日本ではあり得なかったが民主政治の起源は古代アテネまで遡ることができる。民主政治自体も君主制と同じく古来より用いられ失敗してきた政治体制なのだ。

民主政治
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