十一話:包囲突破
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物陰に青色の弾丸が降り注ぐが撃った次の瞬間には逃げていたのか何の反応もない。
内心で軽く舌打ちをして再び辺り全体に神経を集中させる。
「どこに行った、出て来い!」
【クロノ君、そっちに武装局員を向かわせたよ。逃げ場を無くすように包囲だね】
【どこに隠れてこちらを狙っているか分からない。一瞬たりとも気を抜かないように伝えてくれ】
上空でこちらを探しているクロノをよそに白髪に浅黒い肌の男―――切嗣は舌打ちしたい気持ちになっていた。
変身魔法で姿は変えてあるが本来は見つかるつもりなどなかった。
そもそも、本来であれば自分がここに来る理由などない。
ロッテに任せておけば何の問題もなかったのだ。
だが―――
(どういうわけか通信が繋がらなかった)
普段から連絡に使ってある通信機器が何故か繋がらなかったのである。
ロッテの身に何かがあったのかと考え、慌てて騎士達の援護の為に出て来たのだがどういうわけかロッテは無事であった。
そこから考えると意図的にこちらの電波を遮った人物がいる可能性が高い。
無論、ただの故障という線もあるがそれにしてはタイミングが良すぎる。
(仮に遮った人物が居ると仮定した場合、狙いは僕とはやてを引き離すことだ)
それが管理局員かどうかは分からないがこちらにとって不利な状況であることは変わらない。
すぐさま引き返そうとしたところで狙ったのか偶々なのか分からないが、クロノが接近してきたために管理局のサーチャーに引っ掛からないロッテに向かわせ自分は囮となって残ったのである。
とにかく、一刻も早くここから離脱し結界を破らねばならない。
最悪、自分は騎士達に顔を見せてもそこまで怪しまれないのだから。
しかしながら……それまでに越えねばならない敵がいる。
(クロノ・ハラオウン。最年少で執務官になったAAA+クラスの魔導師。経験も既に豊富にあり戦闘はオールラウンダータイプ。極めて隙の無いタイプだ。これは……てこずるな)
ワルサーWA2000に取りつけたスコープ越しにまだ若い少年を観察する。
ワルサーWA2000は自動式の狙撃銃でありながら手動式の狙撃銃並の命中率を誇る。
切嗣はワルサーを降ろしすぐに武装局員が援護に来るだろうと考える。
理想としては増援が来る前にこのまま離脱を果たしたい所だがそれができるのなら苦労はしない。
しかしながら時間がないのも事実。こちらから仕掛ける以外に道はない。
「トンプソン」
『Mode Contender.』
切嗣のデバイス、『トンプソン』がその姿をワルサーから、拳銃と言うよりは小型のライフルのような姿のピストルに変える。トンプソン・コンテンダー。
一発ごとに手動排莢、弾込めをしなければな
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