第七話「時空管理局」
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の中だと言ったな?どう言う事だ、全く揺れを感じないぞ?」
ああ、とシャルティエは得心したように行った。
「そんなことですか坊ちゃん。それはこれが海の上を移動する船じゃなくて空を飛ぶ船だからだと思いますよ。ほら、前にプレシアから聞いてはいたじゃないですか。」
「ああ、次元艇という奴か。そうか、これが...」
そう言って首を回した。窓がないのを見て少し残念に思った。今この船、シャルティエから聞いた話ではアースラと言うらしいがもし高度を上げていたらきっと海鳴市を一望できただろうから、そんな景色は是非とも見てみたかった。
「そういうことなら納得だ。シャル。」
「いえいえ、酔い止めのお世話にならなくて良かったですね。まあ坊ちゃんが目覚めるまでは要るかどうか判らなかったけどね。」
まったくだ、とリオンは思った。海で溺れた人間が救助されて船に乗せられて、その船の上で船酔いすると言うのも滑稽な話だ。そんな自分を想像してリオンは苦笑した。
同時にそうならなくて良かったとも思った。想像して思い描く分には滑稽で済ませられるが、自分が本当にそんな状態に陥ったら、決して愉快な気分にはなれまい。
「失礼する。」
その言葉と医務室の自動ドアの無機質な音はほぼ同時に聞こえた。
脇腹が微かに痛む気がした。だがそれはクロノの錯覚だ。もう完治しているはず傷とも言えない様な打ち身が痛むはずは無い。或いは今目の前にその原因となった一撃をクロノにお見舞いした、その相手が目の前にいるからかもしれない。
彼はベッドから身を起こした、彼が起きた事だけは知っていた。と言うのも患者が眼を覚ますとそれを知らせるようなシステムになっているからだ。犯罪者の狸寝入りの防止の為だと言うが、それが果たしてそんなに需要のある物なのかとクロノは見るたびに首を捻っていた。そんなのサーチャーで確認すれば良いじゃないかーとは思う物の今回ばかりはそれが使えないので感謝する他は無いのだが。
コホンと咳払いをして口火を切った。
「意識は取り戻したようだな。」
「お蔭様でな。本当に良いのか?僕はお前達の敵だぞ。」
クロノにはそれが皮肉が込められている様に聞こえた。
「別に管理局は誰とも敵対しない、言いかえれば誰の味方でもない。ただ公平な治世を敷くための組織だ。君の場合その処置が妥当だったと言うことだろう。」
投げやりな口調にならない様に気をつけた。リンディに厳重な監視を持って彼を徹底的に封じ込めるべきだと進言したときに言い返されたことをそっくりそのままリオンに言った。
「で、だ。解っていると思うが取調べだ。聞かせて貰いたいことが幾つかある。」
「別に構わない。さっさと始めてくれ。」
そう言ったリオンの顔には「『幾つか』
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