第二百二十九話 隠されていたものその八
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「竹千代とも会おう」
「そしてそのうえで」
「都に」
「うむ、上がる」
上洛をするというのだ。
「是非な」
「では」
「我等はその間の留守を守ります」
「いつも通り留守は爺が守る」
平手がというのだ。
「全ては爺に任せる」
「はい、では」
「上様がおられぬ間はです」
「平手殿と共に」
「城を守ります」
万見も矢部も他の者達も言う。
「上様は安心してです」
「上洛されて下さい」
「ただ、都にはです」
「今は」
「うむ、勘十郎は大坂におってじゃ」
大阪城にだ、都を預かっている彼は。
「三郎五郎と共にじゃ」
「大坂城におられます」
「兵もほぼ全て大坂に行っています」
信長が大坂に行かせたのだ、信行と共に。
「ですから都はです」
「奉行もまだ置かれていませんし」
「守りはです」
「今は薄いです」
「それはわかっておる」
何しろ信長が命じたことだ、考えがあって。
そしてだ、そのうえで言うのだった。
「しかし案ずるな」
「はい、上様には毛利殿と服部殿がおられ」
「真田殿、直江殿もおられます」
「それに十勇士もです」
「奇妙様にもです」
信忠、彼にもだ。
「慶次殿、可児殿がおられ」
「飛騨者もつきました」
「滅多なことがあろうとも」
「お命は」
「そうじゃ、だから安心しておる」
このことは矢部達にも言えた、信長や信忠の周りにいる者達のことは織田家の者なら誰でも知っていることだからだ。
「御主達も安心してな」
「そのうえで」
「そして、ですね」
「平手殿のお言葉に従い」
「普通に政をしていればよいですね」
「その通りじゃ、して蘭丸」
彼等の中からだ、彼に声をかけた。
「御主がじゃ」
「はい、この度も」
「供をせよ」
こう言うのだった。
「御主も腕が立つ、だからな」
「上様と共に上洛し」
「何かあればな」
まさにその時はというのだ。
「頼むぞ、御主にもな」
「ではな」
こう話してだ、そしてだった。
信長は上洛の用意に入った、それは岐阜にいる信忠も同じだった。彼は自分の傍に来た慶次と可児に対しても言った。
「では参ろう」
「ははは、都ですか」
慶次が笑って応えた。
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