第二百七十五話
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第二百七十五話 夏と春
魔法の勉強をしている春奈にだ、イーとリャンはふと尋ねた。
「魔法のことではないですが」
「少し宜しいでしょうか」
「どうしたの?」
春奈は自分の机で魔法の本を読んでいたが自分の両肩からそれぞれ言ってきた使い魔達にすぐに応えた。
「魔法のことじゃないっていうけれど」
「はい、ご主人様のお兄様のです」
「夏雄様のことですか」
「お兄ちゃんのことで?」
「ご主人様はお名前を春奈様といいますね」
「春ですね」
二匹が言うのはこのことだった。
「そしてお兄様は夏雄様です」
「夏ですね」
「うん、そうだけれど」
「季節はお兄様の方が後で」
「妹であられるご主人様が先ですが」
「それはどうしてでしょうか」
「年齢が上なのに季節は後とは」
二匹はいぶかしみながら春奈に尋ねる。
「何故なのか」
「前から気になっていたのですが」
「それ理由があるの」
いぶかしむ自分の使い魔達にだ、春奈はすぐに答えた。
「ちゃんとね」
「ではその理由は」
「どういったものでしょうか」
「生まれた時期なの」
それだというのだった。
「それで決まったの」
「ではご主人様が春で」
「お兄様は夏ですね」
「そうなの、それぞれの季節がね」
生まれたその時期がというのだ。
「そうだったからなの」
「わかしました、ではご主人様が秋生まれならです」
「また違うお名前になっていましたね」
「秋奈とか?」
春奈は自分で言った。
「そんな名前だったかもね」
「それもいいですね」
「秋奈というお名前も」
「ですがご主人様はやはり」
「春奈様ですね」
「そしてお兄ちゃんは夏雄よ」
春奈はにこりと笑って兄のことも言った。
「私のね」
「ご主人様のかけがえのないお兄様」
「そうですね」
使い魔達も言う、夏雄は春奈にとってそうした存在なのだ。彼女にとってかけがえのないたった一人の兄なのだ。
第二百七十五話 完
2015・9・28
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