べぜどらくん・しょっく!
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使っ」
「ちょっと待て」
「? なにか?」
「今、二次発酵とか言ったか?」
二次発酵……『発酵』?
まさか。
「え、ええ。新しく生地を作って発酵させる間にこっちを切り分けて熟成の段階に入」
「ここのパンは発酵食品なのか!?」
嘘だろ!? どう見ても腐ってないぞ!?
糸も引いてないし!
「? 小麦粉を使ってたら大体は酵母で発酵させるものだと思うけど……。ベゼドラさんは、平焼きパンが好きなの? え、でも……え?」
マリオンが首を傾げたり目を瞬いたり、不思議そうに手を上げ下げする。
小麦粉を使う以外のパンなんてあるのか?
クロスツェルが使ってたのも小麦粉だぞ?
まさか、そんな。
「……作って、見せてくれないか……? 生地」
意を決して絞り出した俺の言葉を。
マリオンは「え? ええ……」と、困惑しながらも了承した。
用意した材料を手早く秤に掛け。
すべてを混ぜ合わせて、根気よく丁寧に捏ねる。
それを器に移して、厨房の隅に設置された室へ入れ……
同じだ。
クロスツェルの作り方と。
俺がしてた作業と、まったく同じ。
どういうことだ……?
この作業のどこに、腐る要因があるって言うんだ!?
しかも、二次って何だ? 二次って!
二回も腐らせてんのか!?
いやでも、腐ってるのとは全然様子が違うじゃないか!
あの、鼻がもげそうになるツンとした悪臭もしないし!
「訳が分からないっ!」
「えーと……ベゼドラさん、もしかして、発酵が何かを解ってない、の?」
作業を終えたマリオンの言葉が。
クロスツェルに見せられたおぞましい物体をまざまざと思い出させる。
「そんな筈ないだろう! 俺は直に見たんだ! クモの糸のようにネバネバ伸びる粘液がべっとり絡みつく、腐った豆を! だが、パンの生地はあんな風にドロドロでもないし、粘りはあるが、あんなに醜悪な外見はしてな」
「はい、分かりました。パンを作った経験はあっても、作業工程の意味とか形状変化の理由とかは、ほとんど理解できてなかったんですね」
「んなっ!?」
た、確かに、作り方自体はクロスツェルの真似をしてただけだがっ!
「ベゼドラさんって面白い。パンに対する情熱は人並み以上に感じるのに、知識が少し偏ってるみたい。作り手としては、美味しく食べて欲しいし……その為にも誤解は正しておきたいかな」
「誤解?」
「あのね。発酵っていうのは……」
〜解説中〜
……なんてことだ……。
「奥が深い。人間はたった数千年の間にここまでの技術を会得したのか!」
「うーん……まあ、一番最初に発酵パンを見つけた人は、ドジっていうか
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