べぜどらくん・しょっく!
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ド』
これを作り出す為に人間が生まれたと言っても、過言ではなかろう……
って
「ーーーー!!」
「あ」
大通りに出た途端、横から何かが体当たりしてきた。
俺が左腕に抱えてた、茶色の紙袋が地面に落ちて。
「ーー! ーーー!!」
体当たりしてきた何かを追いかける、別の何かが。
中身入りのそれを、無情にも ぐしゃり と踏み潰した。
「ーーー!! ーー」
「ーー! ーーー!」
人間の男の姿をした何かと何かは、険しい表情でどつき合いながら。
茫然と立ち尽くす俺の脇を、知らん顔して走り抜けていく。
……その足で踏みつけた物のありがたみにも気付けぬ、愚か者共め……っ
「────────っっ殺おぉおおおす!!」
食い物を粗末にする奴は、例外なく等しく即座に死ね!
サンドイッチを蔑ろにする阿呆は!
たとえクロスツェルのバカが赦しても!
この俺が! ぜってー赦さん!!
「待てやゴルァああああぁぁああああああ────っ!!」
ま、実際に殺しゃしねぇけどな。
土下座二百回と、多めに買わせた代替品で勘弁してやる俺、超・寛大。
……断じて、クロスツェルの説教がウザいからじゃねぇぞ。
断じてな。
噴水が でん と構える広場を囲むように置いてある鉄製のベンチに座り。
踏まれたサンドイッチは、街中をうろついてた野良犬にくれてやりつつ。
不届者共に買わせた新しいサンドイッチを、白い紙袋から取り出して……
…………ぅん? おおおっ!? これ、めちゃくちゃ旨いな!?
てか、なんだ? 一口目のサクッて食感は。
ふわ、じゃなくて、サク?
よく見ると、パンの両面がいい具合にきつね色。
そうか、トーストにしてるのか!
なるほど、巧いこと考えたな。
表面を軽く焼いたおかげで、サクッとした歯応えの後に、ふんわり食感が加味され、口内にほんのり広がる小麦粉の香ばしさが食欲を増進させる。
素晴らしい。
実に見事な逸品じゃないか。
あんな愚か者共が、こんな上物を製造する店を知ってるとは。
……勿体ねぇな。
サンドイッチの素晴らしさが理解できてない奴らには、分不相応だ。
今度どっかで会ったら、サンドイッチの講義でもしてやろうか。
「……にしても、マジで旨いな。焼くって発想も良いが、トーストする為にパン生地そのものを改良してんのか」
加熱調理してもふわっとした食感は変わらないように生地を調整しつつ。
味そのものにも雑な影響を出してない。
味付け頼みの誤魔化しが多い中、素材の良さを引き立てる手腕。
これは、繊細かつ熟練した、確かな職人の業だ。
「あら、嬉しい。そう
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