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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
第百二三幕 「静かなる宇宙上」
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ヴェルですよ!人類のイノベーションです!』
「つらら、地上に戻ったら"うさぎ跳びで夜の大英博物館一周の刑"ですわ」
『フギャー!?褒めたのにぃぃ〜〜!?』

 何やら管制はにぎやかだが、状況はよろしくない。
 管制のオペレータが告げたとおり、敵は眼にも見えなければレーダーにも引っかからない。ISの鋭敏なセンサを以てしても何の反応もなく、発射されたと思われる弾丸らしき攻撃だけが飛来する。敵の位置が分からないのでは対策の仕様もない。

 まず、敵の位置。
 先ほどから、敵は地球側を『下』と仮定するならば『上』から放たれている。つまり、現在セシリアのいる衛星軌道上より更に地球から離れた宙域から攻撃している事になる。射角から考えるにそれほど派手には動き回ってないと思われるが、砲撃の瞬間が確認できないので場所を特定できない。

「それなりに動き回っても正確に照準して狙撃してくるという事は、距離も然程離れていない筈……しかしPICによる慣性制御波長は検出されないし、スラスタやバーニアの熱源反応もない。移動していない?」
『つらら、思いつきました!自分が移動せずに攻撃となると……BTが正に出来そうじゃないですか!?』
『いや、BTなら照準を合わせるために姿勢制御が必要なはずだ。センサーが何も感知できないのはおかしい。それにBTシステムは連合王国の最高機密だぞ?そんな物をどこから用意するっていうんだ!』
「……………」

 セシリアもつららの説には無理があると考える。
 だが、同時にセシリアは知っている。その最高機密と同じ名前を持ち、あまつさえ互換性もあるシステムが日本の専用ISに存在することを。今回はBTですらないから問題ないだろうが、類似するシステムが使用されている可能性は――ある。

 首の裏がちりちりするような嫌な感覚。自分が知らず知らずのうちに誰かの手のひらの上で踊らされるような不快感に顔を顰める。

 ――今度こそ、当たれ――

「ッ!!次、二発来る!!」

 緊急回避機動でクイーン・メアリ号を操舵。瞬間に、メアリ号のこれから通るはずだったルートと、そこから一歩ずれたエリアを弾丸のような胴体反応が二つ通り抜けた。二発目が微かに装甲を掠り、スキンバリアーがジジッ、と嫌な音を立てた。

「今度は二発……精度も上がっている。焦れて来たか?」
『うーん……このままだとジリ貧です!お姉さま、取り敢えず攻撃してくる方面に何か打ち返してみましょう!数撃ちゃ当たるかもしれませんよ!!』
「無理ですわ」
『無理だな』
『ええっ!!どうして!?この際メアリ号を乗り捨てて打って出ましょうよ!!こっちからアクションを起こせば勘で何かわかるかも……』
『いやいや、ミス・ミネユキ!!そういう問題じゃなくてだなぁ……!!』


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