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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
第百二三幕 「静かなる宇宙上」
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いつも毅然としているセラフィーナが、本当はセシリアからずっと逃げているという事実を。
「……申し訳ありません、セラ様。カップとソーサーをお下げして直ぐに新しいものを用意します」
不意に、メイドの一言で意識を現実に引き戻される。
メイドは突然の事態やセラフィーナの様子に驚きながらも、努めてメイドとしての責務を果たそうとしている。「申し訳ございません」という言葉には、自ら率先して主の失態を自分の物として被ろうとする意味が込められていた。
下の人間がそうしているのに、上の人間がそれをしないのでは高貴なる者として失格だ。
「いえ、片付けが終わったらそのまま下がりなさい。少し――独りになりたい気分です」
「かしこまりました」
彼女はまた、娘に対する後悔を全て胸の内に仕舞い込んだ。
ただ、メイドだけは……セラフィーナが無意識に手を当てた
十字架
(
ロザリオ
)
のネックレスに込められた祈りの行く先が宇宙であることだけを、静かに悟った。
(……娘の命に危機が迫っているかもしれない時に、指を咥えて見ている事しか出来ない……宇宙とは、遠いのね)
= =
地上が混乱に見舞われているその頃、宇宙は更なる混乱に見舞われていた。
「次は……左からかッ!!」
咄嗟の機動によって飛来した弾丸を回避したセシリアは、見えない敵の糸口を見つけようと必死に思案を巡らせていた。辛うじて攻撃を回避はしたが、クイーン・メアリ号はあくまで宇宙ステーションの設置を前提とした設計。弾丸を回避することも受け止める事も前提とはしてないため、はっきり言って外敵からの攻撃には少々脆い部分がある。
管制からメインオペレータの力ない口笛がヒュウ、と聞こえた。
『また回避成功……セシリアお嬢様はどうやって敵の攻撃を察知しているのかご教授願いたいんだが?』
「聞いたら後悔しますわよ?」
『それでもだ。レーダーにも映らない、目視でも確認できない相手の攻撃だぞ?宇宙だから空気を通した音の伝播もないのに何故攻撃を察知できたんだ?』
「乙女の勘ですわ。ご参考になって?」
『………確かに聞いて後悔したよ』
セシリア・オルコットは天才である。そして、天才の感性は常人には理解しがたいものがある。彼女の中の天才的な何かが敵の存在を察知した所で、それを周囲に伝える事は不可能なのである。
残念ながらセシリアが勘だと断定するのなら、それはどんなに科学的に解析しても勘だ。
つまるところ、セシリア・オルコットとはそういう人間である。
『ああ、クソッタレ!俺は一体何をどうオペレートすればいい!?宇宙局め、マニュアルに"スター・ウォーズ"のやり方くらい書いておけよ!!』
『流石はお姉さま!!これはもうある種の未来予知に等しいレ
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