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101番目の舶ィ語
第十ニ話。魔女との接触
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治してあげられなくて」

その言葉に胸が締め付けられる。
キリカに相談しに来たが。
そのキリカは、まだ人に会えるような状態ではなかったのだ。

「悪いキリカ」

俺はやっぱり自分の力でなんとかしようと思い、立ち上がろうとして……!
ぎゅっ。
その手をキリカにしっかり握られて、動けなくなった。

「キリカ……?」

「弱ってる時に、人恋しくなるのは、私も一緒だよ」

……人恋しい。そう聞くと。
キリカの側にもっといたくなった。

「すまん。俺で良ければ一緒にいてやるからな」

「あは。うん……本当はこうやって、魔女の私にも優しくしてくれるモンジ君がいる、それだけで君には価値があるのにね」

キリカはそう言いながらも、自分の体を動かして俺を間近で見つめるように至近距離に顔を近づけた。

「そんなの……」

そんなのは何にもならない。
ただそこにいるだけじゃ、誰も救えない。
俺にはキリカが言うような価値があるとは思えない。

「瑞江ちゃんにしてもそう。君は相手がどんなにおっかない存在であろうと、いつも通りモンジ君のまま接してくれる。何があっても、君は君のままだから。だから嬉しいんだよ、私たちは。音央ちゃんも鳴央ちゃんもそうじゃないかな?」

キリカの顔が近づいてくる。

「そんなことはない。俺は器用じゃないから器用に態度を変えて接するのが苦手なだけさ」

おでことおでこがぶつかりそうになるくらいまで近寄り。
離れようとしたが……。

「ふふっ、なるほど。なるほど。確かにあっちの君はそうかもね。でも今の君なら違うでしょ?
ねっ、『(エネイブル)』の遠山金次君?」

しっかり握られた手は離れない。
コツン!
キリカのおでこと俺のおでこがぶつかり。
キリカの体温が伝わってきた。
かなり熱いな、と思ったその時。
俺は頭の中が突然痛くなった。
それと同時に、ポケットに入れていたDフォンが赤く、熱く発光している。
ヤバいと思い身体を動かそうとしたが……動けなかった。

「ふふふっ、油断したね。モンジ君」

キリカはそのまま俺に近づき……。
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