瑠璃色の死神ー前編
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起きろ」
「んな無茶苦茶な」
俺の驚いたような呆れたような微妙な表情をよそにラピスは自身の目の前を数回タップすると何枚かのコインが現れた。そのコインを手に取りスズに付き出す。
「これお代。ほら!ファル!さっさと起きろ」
そう言って俺の頭を軽くひっぱたく。あんまりじゃないですかね?
スズが料金を確認している間俺は3分の1程残っていたケーキを一気に口に押し込んだ。
「レシート欲しいですか?」
「要らない。じゃあまたね」
スズの質問にラピスは早口に答えると俺の腕を掴んで走り出した。
「御武運を祈ってまーす」
徐々に遠ざかる彼女がそんな事を言っていた。いったい誰に対して言ったのかは定かではない。
色々考えた結果、俺は一際大きなため息を持ってラピスへの文句を呑み込んだ。今日何回ため息ついたかわからねぇな。そんな思考と同時に、「こんなのも恒例になってしまったな」なんて思ってしまい、誰にも気付かれないように、残っていた息を短く吐いた。
◆◆◆
ラピスに腕を引っ張られていた俺は店を出るなり、無造作に投げ捨てられた。
「んで?アテは有るの?」
自分の扱いの悪さを何とか飲み下し、空間を何回かタップするラピスに対して素朴な疑問をぶつけた。
ただがむしゃらに情報を探した所で目ぼしい成果は得られるとは思えない。しかしここで自分の失態に気付いてしまった。
ラピスがカルデラから出ようとしたのは話を聞いたすぐ後だ。あの様子を見る限り、スズが知らなかったから仕方なく他を当たろうとしているように見える。そんな奴が何か宛が有って動くようには思えない。
内心で諦めかけているとラピスからは意外な答えが返ってきた。
「そんなの有るに決まってるじゃん」
「ほう。どこに行くんだ?」
ラピスが自信満々に答えるという意外な返答に、俺もその続きが気になってしまった。一体どんな答えを出すのだろうか。
ラピスは勿体振るような間の後、ドヤ顔で答えた。
「ヒースクリフに聞こうと思います」
ヒースクリフか、確かに有力な相手かもしれないな。
俺は予想以上のまともな答えに無言で納得してしまった。
ヒースクリフ。攻略組トップギルドである血盟騎士団の団長を務める人物だ。その上、出現条件不明で、ほぼ固有のスキルとなってしまったユニークスキル、神聖剣の使い手でもある。
「SAO最強のプレイヤーは誰か?」と問われればほぼ全員がヒースクリフと答える程度には強く、また有名な人物でもある。
俺も一度デュエルした事が有ったがHPを半分削る事さえ出来なかった。その結果を受けてというわけでもないが、最強のプレイヤーは誰かと問われれば俺も彼と答える
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