瑠璃色の死神ー前編
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それくらいしか幸せになれないんだから」
俺の話を聞いたラピスは鼻で笑うと、両手を小さく挙げ、外人よろしくやれやれとかぶりを振った。
「そんなことでしか幸せを感じられないとか哀れな人だね」
「お前なぁ」
、
またしても俺とラピスの視線が火花を散らした。すると横から両手で机を叩くような音が、俺たちの時よりも大きく聞こえる。
刹那、俺とラピスの思考が重なった。というよりもいつものパターンだから二人とも本能的に覚えてしまったのだ。
まるで錆び付いた機械を無理やり動かすような音を脳内で鳴らし、スズが居た方に首を傾ける。そこには敢えて形容するなら鬼の様な形相をした人物がいた。
やや遅れてラピスが鬼の存在を認識する。恐らく俺とラピスは同じことを考えているだろう。「またやってしまった」と。
スズだった人物は右の手の指の関節数ヶ所を軽快に鳴らすとおもむろに口を開いた。
「皆さんが迷惑してますから」
今までとは違う低音の声に俺とラピスは生唾を飲みこんだ。今俺を支配している感情はただただ後悔と恐怖。この二つだけだった。
普通の会話ではありえないたっぷり目の間の後スズはとびきりの笑顔を見せる。
「ね!」
「「は、はい!」」
俺とラピスはすぐさま深々と頭を振り降ろした。
◆◆◆
「この世界から脱出することが出来るクエスト?」
俺は言い終えると、フォークに刺さっていた特製砂糖3割り増しケーキ一口分を口の中に放り込む。すぐに砂糖の甘さが口一杯に広がり、幸せな気分になった。
俺の疑問にスズは自慢げに人差し指を立て始める。どうやら詳しく説明してくれる様だ。
「最近噂になってるんですよ?この世界の何処かに最上階に到達しなくても元の世界に帰れるクエストが有るって」
「いや、単なる噂だろ?流石に有り得ないって」
俺はすぐ様手を横に振って否定した。
考えてみてほしい。SAO開始当初にゲームの制作者本人がこのゲームから脱出するには最上階にいるボスを倒し、ゲームをクリアするしか無いと言っていたのだ。そんな制作がたった一つのクエストをクリアしただけで脱出出来るなんていう抜け道を用意するのだろうか。
今俺たちは事実上拉致監禁されている。それを簡単な方法で脱出させてくれるというのはどうにも考えにくい。下手したら「ゲームをクリアすれば」この条件ですら緩い物に見えなくもないのではないだろうか。まぁそのせいで約2年近く、現在に至っても拉致られているのだが。
少し話が逸れてしまった。要するに一つのクエストをクリアするという甘い条件を用意する理由が無く、そんな意味の無い物が有るはずがない、という結論に行き着くわけだ。少なくとも俺が制作者ならそんな
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