瑠璃色の死神ー前編
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の様子を見た俺はため息を吐いて、気持ちを落ち着かせる。そして、ゆっくりと口を開いた。
「良いのか?デュエルして」
俺の言葉に彼女は静かに頷いた。
「ま、最近なまってたしね。食後の運動って事で」
そう言ってファルは腰から伸長より少し短いくらいの鎌を取り出した。赤黒く光るそれは形容するなら間違いなく死神の鎌だろう。
それを見たゼロは今までの芝居がかったた口調とはうって変わって慌てたように捲し立てた。
「いや、別に死神と相手する気は無いのだが」
「ファルと闘いたかったらまずは私を倒して行きな」
ゼロに死神と呼ばれたラピスは取り出した鎌を肩に掛け、自信有り気に言い放った。その様子を見てたじろぐゼロにラピスは更に続ける。
「見せてあげよう。死神の力って奴を」
「おい、ラピス、本当に良いのか?」
俺の声がどう聞こえたか分からないが彼女は「フッ」と微笑んでから続けた。
「良いよ。特に誰かが見てるわけでも無いからね」
そう言った彼女は目を閉じた。
「ありがと。心配してくれて」
「いや、別に心配とかそんなんじゃ……」
「はいはい」
ラピスはニコリと笑うとすぐに真顔に戻りゼロを見据えた。いや、別に心配は無いんだけど、むしろ心配なのはゼロの方ですよ?ラピスのデュエルという名のストレス発散の餌食になるんだから。
ラピスは手早く目の前を数回タップする。それに反応してゼロは恐る恐る目の前をタップした。するとデュエル開始のカウントダウンが俺にも見えるように可視化される。
「準備はいい?」
ラピスはそう言うと、鎌を持っていない空いた方の手でマジシャンよろしく指を鳴らし声高に宣言した。
「イッツ、ショーターイム!華麗なるショーを見せてあげよう」
言い終えた瞬間カウントダウンがゼロになる。
鈍く光る瑠璃色の洞窟で、死神の舞台が幕を開けた。
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