瑠璃色の死神ー前編
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瞬時に臨戦態勢に入る。
電子の世界といえども何となく、それこそ「勘」だとか「たぶん」といった直感程度の物であるが、相手の殺気という奴を認知できたりするのだ。これが中々どうして当たるから扱いに困ってしまう。
音の無い気配だけがこちらに迫ってくる。その緊張感にたまらず生唾を飲み込んだ。
緊迫した時間が、一秒、また一秒と過ぎていくと、僅かではあるが、ブーツが床を鳴らす音が聞こえ始めた。
いよいよ来る。そう確信してからおよそ3秒後。そいつは黒い長髪を揺らして、俺たちの目の前に颯爽と姿を現した。
「俺の名はゼロ。さぁ、紅い流星よ!今日こそ貴様の最後の日だ」
そう言って現れたゼロと名乗る忍者風の衣装を着た男の話を聞き、ラピスは突然腹を抱えて笑いだした。
「『紅い流星(笑)』だってさ。もうだめ、お、腹いたい」
ラピスは「ギブ、ギブ」と右手でお腹を押さえ、もう片方の手を前に出し降参の合図を取る。しかし、その顔は未だに爆笑のご様子で何とも緊張感に欠ける状況になってしまった。
このゼロという男は何かの因縁でも有るのか度々俺に勝負を挑んでは負けて帰るいたたまれない人物なのだ。きっと今日も破れ去っていくのだろう。一回くらい手を抜いて負けてやろうかな?
そんな事を考えているうちもラピスの爆笑が止まらない。
因みにゼロのこの口上からラピスが長時間の爆笑がまでがいつもの流れである。何回もこのやり取りを見ているとどことなく芝居じみて見えるから不思議だ。不思議か?まぁ不思議かな?
「ファルの紅い流星とかいう二つ名止めよ?駄目だよアレ、ウケる」
そう言い残しラピスは再収まり掛けていた笑いを堪えきれなかったかの様に再び笑い始めた。
そう、紅い流星とかいう三倍速そうな厨二臭漂う二つ名を持つ人物は俺の事である。
もちろん俺が名のった訳ではなく、誰かがネタか何かで口にしたことが広まってしまっ物だと思われるが、よりによってこの名前とは何とも言えない恥ずかしさがあるな。
それにしても、確かに殺気がしたはずだったんだが、気のせいだったか?
いつの間にやらラピスの笑いが収まると、ゼロは俺を指差して言った。
「俺と勝負してもらうぞ!」
「あぁ、はいはい」
まぁこうなってしまったのなら仕方がない。今回も軽く捻ってやろうと一歩前に出るがそれをラピスに手で制された。
「なんすか?」と視線で問うと、今度はラピスが一歩前に踏み出した。
「たまには私に相手させてよ」
「おい、ラピス」
ラピスの言葉にたまらず叫ぶと、彼女はブーツで俺の足を踏みつけた。俺はたまらず、叫ぶ。
「痛ぇよ!」
俺の心からの声も彼女はイタズラっぽく笑うだけだった。そ
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