瑠璃色の死神ー前編
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わからんからとりあえず謝っとこう。
「なんかすんませんでした」
「謝られても困るけどねぇ」
苦笑いを浮かべるラピスとそんなやり取りをしていると、どこからか気になる会話が耳に入ってきたので声がした方を横目で睨みつけた。
「最近死神の話きかないよなー」
「死んだとか何とかって噂もあるぜ」
「流石にそれはなくね?あの死神がちょっとやそっとじゃ死なねぇだろ」
それ以降の会話は雑歩の中に溶けてしまって聞き取れなかった。
さて、あまりここで長居してもあれだ、さっさと店に入るとしよう。そう思って俺は店を見上げた。
その店は、白石造りである地面の上にまるで「私なんかこれくらいで充分です」と主張するかの様に控えめなスペースを取って立てられていた。その為、構造も1階層のみでどことなくこじんまりとしている印象がある。大手の店というよりも老舗の店という言葉の方がしっくりくる様な造りだ。そのくせ、看板には店の名前である「スイーツカルデラ」と言う文字が、でかでかと女の子らしいデコレーションを施されて自己主張してるんだから何ともおかしい。
店は俺の家と同じ木造で立てられていたがこちらの方が明るめの色の木がつかわれている。その色合いがなんとなく穏やかな気持ちにしてくれる気がした。
いい加減に店の中に入ろうと思い、俺は今だ涙ぐんでいるラピスに合図代わりの目配せをする。キョトンとして首を傾げるラピスを横目に扉を開け放った。
まず最初に飛び込んできたのはその内装だ。店の外観と大差無い、落ち着いた雰囲気が感じられる。時間帯もあってかそこそこの人数が店の中にいるようだ。中にはいくつかテーブルとそれに見合ったイスが置かれている。
この店のテーブルも外観と似たような木が使われた丸テーブルでその上をテーブルクロスが覆っていた。
俺は近場の空いている席に腰かける。その後すぐに俺の向かいの席にラピスも腰を掛けた。すると、その時を待っていたかの様に一人の少女がこちらへ駆け寄ってくる。
「ご注文はお決まりでしょうか?」
そう言った少女はただでさえ身長が低い俺よりも少し背が低く、何処か幼い印象を感じさせた。薄茶色の長い髪の毛をツインテールにまとめていることもそういった印象を助長させているように感じる。
俺は注文を聞いてきた彼女に用意してあった答えを返した。
「いつもので」
「私は普通のショートケーキで」
俺に続いてラピスも注文を告げる。一通り聞き終えたウエイトレスはたった今書き終わったメモを一瞥して尋ねた。
「以上でよろしいでしょうか?」
俺とラピスが無言でうなずくとウェイトレスは注文内容を繰り返した。
「ご注文を確認させて頂きます。ショートケーキ1つとカル
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