精神の奥底
51 Dark Side Of The City 〜中編〜
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ーダストにも少年の辛い気持ちは痛い程に伝わってくる。
1対1の環境でシンクロは少年の心を丸裸にする。
スターダストは左の拳を握った。
「あいつらはオレの未来も!母ちゃんの笑顔も奪ったんだ!!必死にリハビリしても、退院まであと半年は掛かる…まともに歩けるようになるまで更に2年は掛かる…この治安の悪い今のデンサンシティの普通の公立校を卒業したんじゃ、まともな就職なんてできない。就職できても母ちゃんと妹に楽なんてさせてやれない!」
「カードを使っても、手に入るのは力だけだ。幸せな生活は手に入らない。連中に復讐してもその後はどうする?」
「…戦うさ…アンタみたいに」
「何?」
「アンタなんだろ?港の工場で不良の集団を殺したの」
「……」
沈黙が流れた。
少年は目の前にいる灰色の鎧と仮面の男が人殺しだと確信しながら、まるで恐れずに澄んだ瞳で見つめている。
そしてスターダスト=彩斗はあの夜の事を克明に思い出していく。
「あいつらが殺されたって聞いた時、不思議と希望が湧いてきた。力さえあれば、アンタみたいに街のゴミを叩き潰せる…!オレみたいな思いをする人たちを助けられる…もう…オレの人生なんか…」
少年の考えていることはスターダスト=彩斗の考えていることに近かった。
少年は既に自分の人生を諦めていたのだ。
その上でまだ救えるかもしれない人の人生を守ろうと純粋に思っている。
確かにユナイトカードの力を使いこなせるならば、それはできるだろう。
しかしスターダストは気づけば、右腕のガトリングを解除して、少年の頬を叩いていた。
「え…?」
「「もうオレの人生なんか」だと…?努力もしてないくせに、走れなくなったから、自分の人生そのものを諦めるだと!?甘ったれんじゃない!!!生きたくても生きられない人間の気持ちを考えたことがあるか!?」
スターダストは裏声も出すことも忘れ、その高くはっきりとした声で少年を叱咤した。
少年とスターダスト=彩斗の違い、それは先の運命、そしてこれまでやってきたことだ。
少年は走れなくなっても、病気になったり、事故に遭わない限り、あと70年は生きられる。
自分の努力次第でいい学校に入ることも、幸せを手にすることもできるのだ。
しかし彩斗は違う。
どんなに努力しても、近いうちにその生命自体が燃え尽きてしまう。
「もしかしてアンタ…病気なのか…?」
「復讐、人助け、理由は何であれ暴力を奮うことの痛みの辛さを知ってるか!?口ではあいつを殺してやりたい、あいつに痛い目を見せてやりたい、言うのは簡単だ!だが殴られる側の痛みを誰よりも知っているお前にその道を選ぶ覚悟があるのか!?怒りに任せて、暴力を奮って、殺して、その感覚を背負ったまま生きられるのか!?」」
そして少年は全く想像
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